「今日もお願いできる?」いつの間にか増えていた孫との時間
「お母さん、今日もお願いできる?」
長女の真紀さん(仮名・38歳)から連絡が入ると、由美子さん(仮名・65歳)は予定を確認する前に「いいよ」と返すことが増えていました。
由美子さんは夫の正雄さん(仮名・67歳)と二人暮らし。夫婦の年金は合わせて月約28万円、預貯金は約2,500万円あります。住宅ローンは完済しています。
真紀さん夫婦は共働きで、小学2年生と5歳の子どもを育てています。自宅は車で20分ほどの距離です。
孫を預かるようになったのは、上の子が小学校へ入ったころでした。当初は、真紀さんの帰宅が遅くなる日に放課後児童クラブへ迎えに行く程度で、月に2、3回ほどでした。
「私も孫に会えるし、そのくらいなら全然負担じゃなかったんです」
ところが半年ほどすると、下の孫の保育園への迎えも頼まれるようになりました。土曜日に娘夫婦が仕事になれば、朝から夕方まで2人を預かります。
気づけば、週に3日ほど孫と過ごす週も珍しくなくなっていました。
午後3時を過ぎると迎えに行き、夕食を食べさせ、娘夫婦が帰宅するまで待つ。土曜日には公園やショッピングモールへ連れて行くこともあります。
正雄さんも車を出し、孫と遊ぶことを楽しんでいました。しかし、夫婦二人で出かける機会は明らかに減りました。
「この前も温泉に行こうって話していたんですが、『土曜日お願いできる?』と連絡が来て、また今度にしたんです」
こども家庭庁『令和7年(2025年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況』によると、2025年5月1日時点の登録児童数は157万645人、クラブ数は2万5,928か所に上ります。共働き家庭などの子どもの放課後の居場所として、多く利用されています。
由美子さん夫婦の場合も学童を利用していますが、仕事が長引く日や保育園との送迎時間が重なる日に、祖父母の助けが必要になっていました。
「断れば娘が困ると思うと、予定があっても『まあいいか』となってしまうんですよね」
そんな生活が1年以上続いたころ、正雄さんが妻に尋ねました。
「俺たち、最近いつ二人で出かけた?」
由美子さんはすぐに返答できませんでした。
