日本政府の減税政策がロボット投資を後押しした
ロボット投資を後押ししたもう一つの要因として、政府による税制優遇政策の存在も見逃せません。
2014年、日本政府は産業競争力強化法の施行にあわせて「生産性向上設備投資促進税制」を導入しました。これは、企業が生産性向上につながる設備投資を行った場合、税制面で優遇を受けられる制度です。
特に大きなインパクトを与えたのが、「即時償却」という仕組みでした。
通常、ロボットなどの大型設備は、数年から10年以上かけて少しずつ経費計上します。しかし、この制度では、即時償却または税額控除(機械装置は5%、建物・構築物は3%)のいずれかを選択でき、即時償却を選べば購入した年に取得価額全額を経費として処理できました(この措置は2014年1月20日から2016年3月末までの時限措置で、その後は特別償却50%・税額控除4%に縮小されています)。
これは企業にとって非常に大きなメリットでした。なぜなら、税負担を大幅に減らせるだけでなく、手元資金を確保しやすくなるからです。
企業経営において、キャッシュフローは極めて重要です。たとえ利益が出ていても、手元資金が不足すれば新規投資は難しくなります。しかし、即時償却によって税負担が軽減されれば、その分を次の設備投資や採用、人材育成に回せます。
つまり、この政策は単なる「減税」ではなく、日本企業の設備投資を加速させる強力なエンジンとして機能していたのです。
なお、生産性向上設備投資促進税制はその後、中小企業経営強化税制などに移行し、2026年度税制改正でも「特定生産性向上設備等投資促進税制」として、より大規模な投資を対象とした即時償却・税額控除の枠組みが新設されるなど、設備投資減税の考え方は現在も引き継がれています。
