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水面下の退職者予備軍「1,023万人」
お盆休みが明けた最初の出社日、デスクに戻った社員が少し緊張した面持ちで「実は、お話がありまして」と切り出す――。人事労務の現場では珍しくない光景です。なぜお盆休み明け・年末年始・GW明けといった長期休暇明けに退職が起こりやすいのでしょうか。
退職代行サービスのモームリは、2025年の年末年始休暇明けの初出社日となった1月6日、1日で250件を超える過去最多の依頼が寄せられたことを公表しています(退職代行モームリ ウェブサイト「Information」ページ)。連休の「翌営業日」に依頼が跳ね上がるという事実は、退職の意思が休暇中に固まっていることを物語っています。
まず押さえておきたいのが、労働市場の実情です。注目すべきは「辞めたい」と思っている1,023万人に対し、実際に動いたのは330万人にとどまるという点です(図表)。つまり、差し引き約690万人は、いつ動き出してもおかしくない予備軍として社内に潜在しているのです。
長期休暇はこの予備軍が「検討」から「行動」へ移るトリガーとなる可能性があります。
※1 総務省「労働力調査(詳細集計)」
(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/youyaku.pdf)
※2 パーソル総合研究所『「離職の変化と退職代行に関する定量調査」を発表 退職代行、離職者の5.1%(20人に1人)が利用』
(https://rc.persol-group.co.jp/news/release-20251202-1000-1/)
長期休暇明けに退職が増える「3つの心理メカニズム」
ではなぜ、お盆休み明けに退職が出るのでしょうか。「3つの心理メカニズム」から読み解いていきましょう。
①比較のスイッチが入る
帰省先で会う旧友、同窓会、親族との会話。「あいつは年収が〇〇らしい」「地元の会社は残業がないらしい」――。普段は接点のない他社の情報が一気に流れ込んできます。自社が初めて“相対評価”にさらされる期間です。
②リセット効果で戻れなくなる
連続休暇で生活リズムと緊張感がいったん切れると、再び助走をつけるには相応のエネルギーが要ります。また、日ごろから抱えていたモヤモヤや違和感が、休み中に言語化されて顕在化する。これが休暇明けに退職申出が集中する心理的な正体です。
③9月末退職からの逆算
9月末は上半期の区切りであることから、選ばれやすい退職日です。就業規則で「退職は1ヵ月前までに申し出ること」と定めていれば、逆算した申出期限はまさにお盆休み明け。制度設計そのものが、この時期に申出を集めているのです。

