(※写真はイメージです/PIXTA)

「首都圏の中古マンション在庫が増加している」という報道を目にする機会が増えました。しかし、市場全体が冷え込んでいると判断するのは早計かもしれません。詳細なデータを紐解くと、千葉や埼玉ではむしろ在庫が減少しており、特定のエリアに売れ残りが集中している実態が浮かび上がります。

高額タワーマンションが統計を押し上げる

売出価格8,000万円以上のシンボリックなマンションについて、個別物件ごとの在庫推移を整理した同社の調査によると、明確な傾向が浮き彫りになります。

 

東京都心部、特に千代田区、中央区、港区において在庫増加による流動性低下を示すデータが集中しています。都心部を取り囲む周辺エリアでは在庫が大きく積み上がっているわけではありません。東京都内であってもどこでも売れにくくなっているのではなく、特定のエリアやマンションタイプに在庫増加が偏っています。

 

在庫が増加しているマンションには明確な共通点が存在します。高額な大規模マンションやタワーマンションです。

 

都心部には数百戸から1,000戸超の大規模物件が多数存在します。一棟あたりの供給戸数が多いため、仮に1つのマンションで売出在庫が数十戸増加するだけで、市場全体の在庫数を大きく押し上げます。都心部の大規模マンションの在庫増加は、単なる1物件の売れ残りという話ではありません。供給戸数が多いからこそ、これらの流動性低下が首都圏全体の在庫統計に甚大な影響を与えています。現在価格調整の対象となっているのも、こうした高額・大規模タワーマンションが中心です。

 

このように、現在の中古マンション市場を「首都圏全体で流動性が低下している」と捉えるのは不適切といえるでしょう。埼玉県、千葉県、神奈川県では在庫が減少し、東京都23区でも都心5区を除けば価格調整を伴いながら流動性が維持されています。千代田区、中央区、港区を中心とする都心部でのみ、高額な大規模マンションの在庫が増加し、販売期間の長期化が進行。都心部の在庫増加によるインパクトが強すぎるため、結果的に首都圏全体の在庫が増えているという印象につながっています。

 

今後の市場動向を把握するうえで、首都圏全体の在庫数や平均価格だけを追うのは危険といえるのです。どのエリアのどの価格帯で在庫が増加しているのか。値下げで売れているのか、それとも販売期間が延びているのか。細かな市場分析が求められます。

 

〈参考資料〉

マンションリサーチ株式会社『【「首都圏でマンション在庫増」の裏側】実は都心高額マンションに集中していた』

 

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