(※写真はイメージです/PIXTA)

かつては景気の押し上げ要因とされていた円安ですが、近年ではその効果が薄れています。一方で、円安は株価にプラスの影響があるといえます。どんなメカニズムが働いているのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

大幅な円安なら話は別だが…

ちなみに、円安は景気に影響しないという筆者の認識が正しいとすれば、「円安で景気が悪化して株価が下落」「円安で株価が好転して株価が上昇」という経路は考える必要がなさそうです。したがって、素直に「ドルが高く売れた輸出企業の株は上がり、ドルを高く買わされた輸入企業の株は下がらないので、平均株価は上がる」と考えてよいわけです。

 

もっとも、大幅な円安ならば株価が下がるかもしれません。大幅な円安になれば、輸入物価の上昇がインフレをもたらし、日銀の金融引き締めを招きかねないからです。

 

金融が多少引き締められても、景気への影響は限定的です。「金利が0.25%上がったから、設備投資はやめておこう」などと考える企業経営者はほとんどいないからです。

 

しかし、金融が引き締められた場合、株式投資家たちは株を売ります。「ほかの投資家たちが株を売るので株が下がるだろう。その前に売っておこう」と考えるからです。株式市場では、「皆が値下がりを予想すると皆が売り注文を出すので実際に株価が下がる」ということがしばしば起きます。

 

「金融が引き締められるかもしれない」という噂が流れただけでも、大量の売り注文が出て株価が下がることは珍しくありません。そうしたことが繰り返されると、ますます投資家たちは「金融引き締めは株安要因だから、引き締めの噂を聞いたら売ろう」と考えるようになっていく、というわけですね。

 

ちなみに、極端な円安となれば、日銀が大幅に金利を引き上げるので、景気も悪化するかもしれません。「景気をわざと悪化させてインフレを抑え込もう」と日銀が考えるようになるからです。もっとも、それは本当に極端な円安の場合でしょうから、「円安の影響は景気には出にくいが株価には出やすい」というのは、ここでも成り立つ話なのですね。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

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