食費だけを削る生活をやめて気づいたこと
節約を意識するうち、修一さんの夕食にも変化が出ていました。
「昼にちゃんと食べた日は、夜は豆腐と納豆だけでいいかと思って。作るのも面倒ですしね」
食費を抑えられることもあり、当初はそれでいいと思っていました。
しかし、1ヵ月分の家計簿を見返し、食料品以外の支出も一つずつ確認してみたときのこと。ほとんど使っていない固定電話や有料動画サービス、契約したままになっていたスマートフォンのオプションなどが見つかりました。
「スーパーでは100円、200円を気にしているのに、使っていないものに毎月お金を払っていたんですよ」
契約を整理すると、毎月数千円の支出を減らすことができました。それをきっかけに、修一さんは食費についても「安く済ませること」だけを考えるのをやめました。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」の「高齢者の低栄養予防」では、高齢期には食欲の低下や食事量の減少などから低栄養状態になることがあり、肉や魚、卵、大豆製品などを組み合わせて必要な栄養を取ることが大切だとされています。
現在は、刺身を買わない代わりに、比較的安い切り身や缶詰を選ぶようになりました。肉は特売日にまとめて買って小分けにして冷凍。スーパーだけでなく、食品を扱うドラッグストアも利用します。
以前のように、値段をほとんど気にせずカゴへ入れることはなくなりました。それでも、「食べたいものは我慢する」という買い方からは少し離れています。
先日も鮮魚売り場で、修一さんは刺身のパックを手に取りました。いつものように値札を見て、少し考えます。
「今日はこれを買っても大丈夫だな」
今度は棚へ戻さず、そのままカゴへ入れました。
物価が上がるなか、収入が限られていれば、すべてを以前と同じように買い続けることは難しくなります。一方、日々の食費だけに目を向けていると、必要な食事まで減らしてしまうこともあります。
修一さんは現在、毎月の予算を守りながらも、食べる量そのものを減らさないことを意識しています。値上がりによって変わったのは、買うものだけではありません。限られた年金を何に使い、何を残すのか。スーパーで商品を手に取るたび、その優先順位を考えるようになったといいます。
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