(※写真はイメージです/PIXTA)

離れて暮らす高齢の親の様子は、電話だけではなかなか分からないものです。普段と変わらず話していても、家事や買い物、金銭管理など、日常生活の一部が少しずつ難しくなっていることもあります。本人が不便を感じていなかったり、「まだ大丈夫」と考えていたりすれば、家族が変化に気づくまで時間がかかることもあります。久しぶりに実家を訪れ、母親の暮らしの変化に気づいた親子のケースを見ていきます。

「私はまだ介護なんて必要ない」82歳母との話し合い

その日、浩二さんは母と一緒に家の中を確認しました。洗濯物はたまっていません。着替えや入浴も自分でできています。

 

一方、買い物では「家に何があるか分からなくなることがある」と節子さんが話しました。同じものを買ってしまうことも増えていたといいます。ゴミ出しの日を間違えたこともありました。

 

「どうして言ってくれなかったんだよ」

 

浩二さんが尋ねると、節子さんは不思議そうに答えました。

 

「そんな大したことじゃないでしょう」

 

浩二さんは、母をすぐに認知症だと決めつけることはしませんでした。

 

物忘れには加齢によるものもあり、生活上の変化だけで認知症と判断することはできません。厚生労働省も、認知症について気になる変化がある場合には、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談することを案内しています。

 

まず節子さんの了承を得て、かかりつけ医へ相談しました。

 

あわせて地域包括支援センターにも連絡し、現在の生活状況を伝えました。地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護などについて相談できる地域の窓口です。

 

節子さんは当初、

 

「私はまだ介護なんて必要ないわよ」

 

と嫌がりました。浩二さんも、施設へ入れるための相談ではないことを説明しました。

 

「一人で暮らし続けるために、今困ってるところだけ手伝ってもらおうよ」

 

その後、買い物は週1回の宅配を利用し、浩二さんが訪ねる日は冷蔵庫や郵便物を一緒に確認するようになりました。

 

支払いは可能なものを口座振替へ変更。薬についても、飲み忘れがないか確認しやすい方法を薬局に相談しました。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、介護保険の要支援・要介護認定を受けている割合は75~84歳で要支援6.0%、要介護11.6%となっており、85歳以上ではそれぞれ14.0%、44.5%まで高まります。年齢が上がるにつれて、生活上の支援が必要になる人の割合も大きくなります。

 

高齢の親の暮らしを確認するときには、体調だけでなく、冷蔵庫の中身や郵便物、買い物、支払いなど、普段の生活がこれまで通り回っているかを見ることも一つの手がかりになります。

 

変化に気づいた段階で家族だけで抱え込まず、本人と相談しながら医療機関や地域の支援につなげることで、自宅での生活を続けられる可能性も広がります。

 

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