「子どもが小さいうちだけ」から続いた月7万円の仕送り
「今月も振り込んでおいたからね」
長男の雄太さん(仮名・38歳)へそう連絡するのが、明美さん(仮名・63歳)の毎月の習慣になっていました。
明美さんは会社員として働き、現在の月収は約34万円。夫を5年前に亡くし、住宅ローンを完済したマンションで一人暮らしをしています。
雄太さんは妻の彩香さん(仮名・36歳)と、小学生と幼稚園児の子ども2人との4人暮らしです。
仕送りを始めたのは、下の孫が生まれた3年前でした。彩香さんが育児休業に入り、雄太さんから「しばらく収入が減るから、ちょっと大変なんだ」と聞いたことがきっかけです。
「子どもが小さいうちだけだから」
明美さんは毎月7万円を振り込むことにしました。孫の保育料や衣類、食費の足しになれば十分だと思っていました。返してもらうつもりもありません。
それとは別に、誕生日には1万円前後のプレゼントを贈り、入学時にはランドセル代として7万円を渡しました。孫に会えば、お小遣いを渡すこともあります。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上の人が今後優先的にお金を使いたいものとして、「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた割合は25.8%でした。子や孫への支出を大切に考える人は一定数います。
明美さん自身も、援助を負担とは感じていませんでした。まだ働いて収入があり、預貯金も約1,800万円あります。
「私が年金生活になったら減らそう。それまではいいかなと思っていました」
ところが今年、上の孫の誕生日が近づいたころです。明美さんは欲しがっていたゲーム機を贈ろうと考え、雄太さんに電話しました。
すると、息子から思いがけない言葉が返ってきました。
「母さん、もうプレゼントなんて送らなくていいよ」
「どうして? 誕生日でしょう」
「毎月のお金も、来月から止めてほしい」
明美さんは驚きました。
「何かあったの?」
しばらく黙っていた雄太さんは、ようやく家庭の事情を話し始めました。
