「そりゃ息子も寄り付かないわ」〈年金月14万円・金融資産1億円超〉75歳母、お祝い100万円を突き返され…3人目の孫が生まれた43歳長男と〈実質絶縁〉の納得の理由【FPが解説】

小川洋平
「そりゃ息子も寄り付かないわ」〈年金月14万円・金融資産1億円超〉75歳母、お祝い100万円を突き返され…3人目の孫が生まれた43歳長男と〈実質絶縁〉の納得の理由【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもや孫を思い、よかれと思っての経済的支援。しかし、そこに言葉の端々で子どもの生活を否定するような態度が混ざってしまうと、どんなにありがたい援助であっても「有難迷惑」や「コントロールの手段」と受け取られてしまいがちです。本記事では、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が、田村和子さん(仮名)の事例から、親子間のお金と適度な距離感について解説します。

裕福な両親と、生活がぎりぎりの息子家族

田村和子さん(75歳)は、夫の正夫さん(78歳)と2人暮らしです。

 

夫婦は長年、正夫さんの両親から引き継いだ店舗を営んできました。主な事業は、ネットワークビジネスによる化粧品の販売です。若いころから販売組織を築き上げ、現在は自身が直接販売する利益に加え、構築してきた組織からの権利収入も受け取っています。

 

夫婦とも個人事業主として働いてきたため、公的年金は2人合わせて月14万円ほど。しかし、事業から得られる収入は現在も月80万円を超えています。全盛期にはネットワークビジネスだけで月収100万円超え。近年では顧客の高齢化により収入は減っていますが、現役世代の平均を大きく上回る収入を手にしています。

 

さらに夫婦には、若いころから積み立ててきた私的年金や生命保険、預貯金などの金融資産が合計1億円以上あり、加えて、賃貸アパートも2棟所有しています。公的年金だけを見れば決して多いとはいえませんが、金融資産や事業収入、不動産を含めて考えると、老後の生活には十分な余裕がありました。

 

和子さん夫婦には、離れて暮らす2人の子どもがいます。

 

もともと長男の健太さん(43歳)が家業を継ぐ予定でしたが、健太さんの結婚を和子さんらが反対したことから親子関係が悪化。結局、健太さんは家業を継がずに妻の美咲さん(40歳)が経営するサロンを一緒に切り盛りする道を選びました。

 

健太さん夫婦の事業は決して順調とはいえず、2人合わせた月商は60万円を少し超える程度。店舗の家賃や光熱費、広告費などを支払うと、家計に回せるお金は月30万円ほどです。そこから生活費や子どもたちの教育費を捻出していますので、決して余裕のある暮らしとはいえません。

 

住まいは市営住宅で、夫婦で工夫しながら2人の子どもを育ててきました。そんな健太さん夫婦に、3人目の子どもが誕生したのです。

 

「3人目が生まれたんですって。お祝いに行きましょうよ」

 

普段は長男夫婦とあまり交流のない和子さんでしたが、孫の誕生は素直に嬉しい出来事でした。正夫さんも喜び、出産からしばらくたったころ、健太さんたちの住む市営住宅を訪れることにしました。

出産祝いに100万円…温かい雰囲気が一転したワケ

「お父さん、お母さん、わざわざありがとう」

 

健太さん夫婦は、2人を笑顔で迎えました。和子さんは、生まれたばかりの孫の顔をのぞき込みながら、用意していた祝儀袋を差し出します。

 

「これ、出産祝い。3人目だし、なにかと物入りでしょう」

 

中には、現金100万円が入っていました。

 

「えっ、こんなに? さすがに申し訳ないよ」

 

健太さんは驚き、美咲さんも恐縮した様子でした。

 

「いいのよ。孫のために使ってちょうだい」

 

久しぶりに親子のあいだで穏やかな会話が弾みます。上の子どもたちの近況や、赤ちゃんの話に花が咲き、和子さんも正夫さんも、楽しい時間を過ごしていました。

 

ところが、和子さんが部屋を見回しながら口にした一言で、空気が変わります。

 

「それにしても、こんな狭いところで3人育てるのは大変よね……」

 

「まあ、なんとかやってるよ」と健太さんが苦笑いを浮かべて受け流そうとしましたが、和子さんは言葉を止めませんでした。

 

「こんなところに住んでるくらいだから、お店の経営だって楽じゃないんでしょ? だから、私たちの仕事を手伝えばよかったのよ。うちの化粧品、あなたたちのサロンでも販売すればいいじゃない。お客さんもいるんだから、売上になるでしょう?」

 

美咲さんが、「ありがとうございます。でも、うちはいまのメニューと商品でやっていこうと思っていて……」とやんわり断ります。しかし和子さんは「そんなこといっても、儲からない仕事をいつまでも続けていたって仕方ないでしょう?」といって折れません。

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