父が遺した資産だから…「空き家アパート」を相続した51歳独身女性の葛藤。「自己資金1,400万円で賃貸経営」か「売却」か、下した決断【CFPが解説】

父が遺した資産だから…「空き家アパート」を相続した51歳独身女性の葛藤。「自己資金1,400万円で賃貸経営」か「売却」か、下した決断【CFPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「親から相続した不動産をどうするか」の答えを出せないまま、何年も悩み続けている方は少なくありません。父親から空き家のアパートを継いだ51歳の会社員・ユウコさん(仮名)も、1,400万円の自己資金を投じて改修すべきか決断できずにいました。しかし、自身の資産状況を整理していくと、本当に向き合うべき「根本的な問い」が見えてきました。事例をもとに、不動産相続において“本当に必要な決断”を導き出す方法をCFPの下田幸彦氏が解説します。

「そもそも、お金を増やす必要があるのか?」二択の前に見落としていた問い

考えを進めるなかで、ユウコさんはひとつの疑問を抱きました。

 

「自分が生涯にわたって、いくらのお金が必要なのか」

 

「アパート経営」か「資産運用」かの二択で悩んでいたはずが、実はもっと手前の問いが解決されていなかったのです。

 

ユウコさんは一人っ子で未婚、両親もすでに他界しています。誰かに資産を残す必要はありません。ただ、自分一人でこれからの人生を生きていくには何があるかわからない。持ち家に住んでいても、いつかは高齢者施設への入所が必要になるかもしれない。

 

「お金は多いに越したことはないと思って増やすことを考えているけれど、果たしてどうなんだろうか」

 

それがユウコさんの本音でした。

【CFPが解説】「動かしにくい資産」を抱え続けるリスク

現状を整理すると、答えはシンプルでした。

 

ユウコさんの資産状況は、持ち家あり・ローンなし・金融資産あり・会社員として安定収入・NISAとiDeCoで運用中・退職金も約1,800万円の見込み。さらにアパートを売却すれば土地代として約1,000万円が加わります。

 

この場合、自己資金1,400万円を投じてアパートを改修し、十数年かけて回収を目指すよりも、その資金を流動性の高い金融資産として運用するほうが、老後の選択肢が広がります。

 

特に、高齢者施設への入所など、まとまった資金が必要になる場面では、不動産は「すぐに換金できない」という弱点があります。一方、投資信託や債券であれば、必要なときに必要な分だけ取り崩せる流動性があります。

 

アパート経営は「投資」というより「事業」です。仕事を続けながら、空室管理や建物のメンテナンスなどの管理をこなすのは、相当な負担となるでしょう。入居者対応については管理会社を利用することで手間を省くことはできますが、それでも管理費用が収益を圧迫することは避けられません。

 

さらに、将来は施設入所の可能性もあるなかで、不動産という「動かしにくい資産」を抱え続けることが、本当にユウコさんの老後の安心につながるのか。そこが重要なポイントになります。

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