協調介入でも、財政規律への懸念続くなら円安基調は変わらない?
テクニカルな分岐点は120日MAの「159円半ば」
日米協調介入の実施を受けて、米ドル/円は円安基調から円高へ大きく反転しました。ただ、高市内閣が財源が曖昧なまま消費税減税を進めようとしていることから、財政規律への懸念を主因とした円安の流れは変わらないとの見方も根強くあります。そこで、この先の米ドル/円の行方について、改めて考えてみます。
米雇用統計の「ネガティブ・サプライズ」を受け、早期の米利上げ観測は後退しました。その一方で、日米協調介入後にはベッセント米財務長官らが日本の早期利上げへの期待を示唆し、日本では逆に利上げ観測が高まっています。
こうした動きを受け、日米金利差(米ドル優位・円劣位)は先週にかけて比較的大きく縮小し、協調介入をきっかけとした米ドル安・円高の戻りを正当化する状況となりました(図表4参照)。このような日米金融政策の見通しは、米ドル/円の上値を抑制する要因になるでしょう。
また、もう1つ円安を抑制しそうな要因として、これまで円安の主導役とみられた投機筋の円売りが鈍化する可能性が挙げられます。
代表的な投機筋であるヘッジファンドの円売りポジションの損益分岐点の目安とされる120日MA(移動平均線)は、足下で159円半ば程度を推移しています(図表5参照)。この水準より米ドル安・円高で推移している局面では、ヘッジファンドは円売り拡大に動きにくく、むしろ円売りポジションの処分や、円買いへ動く可能性があります。
今週の米ドル/円予想レンジは「155~159.5円」
今週はCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といったインフレ指標に加え、小売売上高など注目度の高い米経済指標の発表が予定されています。これらの結果を踏まえ、先週の「NFPショック」で後退した早期米利上げ観測が改めて吟味されることになるでしょう。
テクニカル面では、ヘッジファンドの円売り・円買いの分岐点とされる159円半ば(120日MA)に注目しています。米ドル/円がこの水準を大きく超えてくるようなら投機筋の円売りが再燃する可能性がありますが、この水準を超えられない場合には、むしろ投機筋が円買い拡大に動く展開も考えられます。
個人的には、介入再開への警戒などから米ドル/円が120日MAを上抜けるのは難しいと考えるため、今週の米ドル/円は上値が重く、「155~159.5円」のレンジで推移すると予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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