「親だからって甘えすぎよ」母が初めて伝えた本音
和美さんは20万円を渡しませんでした。
すると健太さんは、「親なのに冷たい」と不満を示します。さらに、その日の夕食について「子どもが魚を食べないから別のものを作って」と頼みました。
そこで和美さんは、これまで口にできなかった本音を伝えました。
「親だからって甘えすぎよ。帰ってくるたびに、食事も洗濯も子守も全部私任せ。お金まで出してもらって当然だと思っているでしょう」
健太さんは「実家なんだから、それくらいいいだろう」と反論しました。
「ここはあなたが無料で泊まれる宿じゃないの。今後、同じつもりで帰ってくるなら、もう泊めません」
健太さんは翌日、予定を切り上げて帰りました。その後、数ヵ月間は電話にも出ず、孫とも会えない状態が続きます。
和美さんは、自分の言い方が厳しすぎたのではないかと悩みました。一方で、謝って以前の状態へ戻れば、同じ負担が繰り返されるとも考えました。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、2025年の推計で男性18.3%、女性25.4%となっています。高齢の親が単身で暮らしている場合、子ども側が住居費の有無だけを見て、生活に余裕があると判断してしまうこともあります。
半年後、健太さんから「年末に顔を出したい」と連絡がありました。和美さんは、日帰りなら歓迎すると答えます。宿泊する場合は近くのホテルを利用し、食事代や外出費は各自で負担することも伝えました。
健太さんは最初こそ戸惑いましたが、妻と相談し、今回は日帰りで訪ねることにしました。昼食は長男一家が購入し、食後の片づけも家族で行ったといいます。
成人した子どもの帰省は、親にとって楽しみである一方、食費や家事、孫の世話が重なれば大きな負担になります。親子であっても、訪問する期間や費用の分担、誰が何を担うのかを事前に確認することが必要です。我慢を重ねて関係が壊れる前に、無理なく会い続けられる形を話し合うことが大切なのでしょう。
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