「オジサンは自分の家がないの?」姪っ子の無邪気な問いにショック。実家暮らしを続ける45歳会社員の未婚男性「夏休みよ、はよ終われ」とぼやくワケ【FPが解説】

「オジサンは自分の家がないの?」姪っ子の無邪気な問いにショック。実家暮らしを続ける45歳会社員の未婚男性「夏休みよ、はよ終われ」とぼやくワケ【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

物価が上がる一方で、据え置きの賃金。「とても暮らしていけない」と、40代50代になっても実家暮らしを選択する人も少なくないでしょう。一人暮らしよりも固定費を削減できたり、生活環境を家族に整えてもらえたりと、メリットは少なくありません。「ずっと実家暮らし」を選択する人も増えていますが、とあることがきっかけで、そろそろ出るべきかと悩むケースもあるようです――。本記事では、波多FP事務所の波多勇気氏が、高橋誠さん(仮名)の事例から、ミドル世代における親との同居のリアルに迫ります。※紹介する事例は、相談者より許可を得て、プライバシー保護の観点から相談者の個人情報および相談内容を一部変更して記事化しています。

貯金が120万円しかなくて実家を出られない

相談室で誠さんが最初に口にしたのは、意外にも前向きな言葉でした。

 

「先生、そろそろ家を出ようかと思うんです。ただ、貯金が120万円しかなくて。この歳で、この額って……やっぱりまずいですよね」

 

「まず、位置を確認しましょうか。金融経済教育推進機構の2025年の調査では、40代単身世帯の金融資産の中央値は100万円。約3人に1人は金融資産ゼロです。数字のうえでは、誠さんは真ん中より上にいます」

 

「え、そうなんですか。ちょっと安心しました」

 

「ただし、です。同じ調査では1,000万円以上を持つ40代単身も2割いて、貯まっている層とそうでない層に、はっきり二極化しています。そして誠さんが本来いるべきなのは、間違いなく前者の側なんです」

 

国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与は478万円。誠さんの450万円は、ほぼ平均どおりの稼ぎです。一方、総務省の「2025年 家計調査」をみると、一人暮らしの生活費は月17万円前後。この数字には持ち家の人も含まれるので、賃貸を借りれば実際は20万円近くかかります。

 

「つまり一人暮らしの同僚は、手取り23万円からそれだけ払って生活している。では、家に3万円しか入れていない誠さんの手元には、毎月いくら残っているはずですか」

 

「……計算上は、20万円ですね」

 

「そうです。仮にその半分の10万円を貯めていたとしても、年120万円。20年なら2,400万円です。でも実際の貯金は120万円。差額はどこへ消えましたか」

 

誠さんは、しばらく黙り込みました。車のローンに月3万円、趣味のゲームと動画配信への課金、同僚との飲み会、週末の外食。一つひとつは小さくても、家賃という重石がない家計は、支出の総量を意識する機会そのものがありません。

 

「実家暮らしはお金が貯まる、とよくいわれます。でも私の相談経験では逆のケースが目立ちます。家賃ゼロという安心感が、財布の見張り番を眠らせてしまうからです。しかも誠さん、もう一つ大事な視点があります。ご両親の年金額と、ご実家の維持費がいくらか、ご存じですか」

 

「いえ、聞きづらい話題ですので……」

 

「誠さんの食費も、光熱費も、住む場所も、実際にはご両親の年金が支えています。言い換えれば、見えない家賃を親御さんが肩代わりしている状態です。お父さまは79歳。この構造は、あと何年続けられるでしょうか。相続や介護が始まったとき、固定資産税も修繕費も光熱費も、全部が誠さんの120万円に襲いかかってきます」

 

念のため申し添えると、48歳で独身であること自体は、いまや特別なことではありません。2020年の国勢調査ベースでは、50歳時点の未婚割合は男性で24.6%。およそ4人に1人です。問題は独身でも実家暮らしでもなく、その生活を支える家計の構造を、本人が把握していないことなのです。

 

 

次ページ実家はまだ出なくていいが…

※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録