(※写真はイメージです/PIXTA)

毎年子どもの夏休みに実家へ帰省する――それは、日本の夏の風物詩ともいえる光景です。帰省ラッシュの時期には高速道路が大渋滞となることも少なくありません。しかし、「実家はいつでも迎えてくれる」「顔を見せれば親は喜んでくれる」――そんな子世帯の当たり前が、ある日突然覆されることもあるようです。本記事では、波多FP事務所の波多勇気氏が、佐藤大輔さん(仮名)の事例から、お金と帰省の対話について考えます。※紹介する事例は、相談者より許可を得て、プライバシー保護の観点から相談者の個人情報および相談内容を一部変更して記事化しています。

電話口で母が漏らした、まさかの本音

神奈川県川崎市に住む会社員の佐藤大輔さん(仮名/45歳)は、同じく会社員の妻・美咲さん(仮名/42歳)と、世帯年収約750万円で、小学5年生と小学2年生の2人の子どもを養っています。

 

毎年8月のお盆には、新潟県にある実家へ車で帰省するのが恒例でした。実家で暮らすのは、母の恵子さん(仮名/72歳)。5年前に夫を亡くし、いまは一人暮らしです。お盆には、県内に嫁いだ大輔さんの妹一家も実家に顔を出すのが毎年の習わしでした。

 

「渋滞は覚悟のうえですよ。むしろ、あの渋滞を抜けて実家に着いたときの達成感まで含めて、夏の行事みたいなものでした」

 

大輔さんはそう笑います。実際、昨年の帰省では、実家へ向かう関越道の下り線で30km近い渋滞を含むいくつもの渋滞に立て続けにつかまり、通常なら3時間半の道のりに7時間近くかかりました。

 

後部座席では子どもたちが飽きたから帰りたいだのトイレに行きたいだの騒ぎ、車内の空気は重くなるばかり。それでも「おばあちゃんが待ってるから」と、励ましながらハンドルを握り続けたといいます。帰りのUターンでは上り線の渋滞が待っており、往復とも渋滞との戦いでした。

 

かかる費用も決して小さくありません。往復の高速代とガソリン代で約2万5,000円、手土産に約8,000円、帰省中の外食やレジャー費で約2万円、さらに妹の子どもである甥と姪へのお小遣いも含めると、毎年の帰省費はおよそ6万円。佐藤家にとって、夏のボーナスから真っ先に確保する固定費のような存在でした。

 

ところが今年の7月、恒例の帰省の相談で実家に電話をかけたときのことです。

 

「今年も13日から帰るからね。子どもたちも楽しみにしてるよ」

 

「……あのね、大輔。今年はいいよ。夏休み、来なくていいよ」

 

受話器の向こうの母の言葉に、大輔さんは一瞬、耳を疑ったといいます。理由を尋ねても、母は「暑いし、渋滞も大変でしょう」と繰り返すばかり。釈然としない思いを抱えた大輔さんは、たまたま職場の同僚から紹介されていた筆者のFP事務所を、自身の家計相談を兼ねて訪ねてきました。

 

 

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※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

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