FPが提案した3つの見直し…「来なくていい」の裏にあった本音への答え
筆者が大輔さんに提案したのは、次の3つです。
1.帰省の時期をお盆から外す
お盆期間中の高速道路は、渋滞の激化を避けるために休日割引が適用されません。9月の連休なら、お盆ほどの渋滞はまず起きませんが、ただし、一つ注意点があります。
2024年度からシルバーウィークが、2025年度からは3連休も、休日割引の適用除外になりました。割引まで狙うなら、連休を外した通常の土日か、平日に休みを取って動くのが最も安く上がります。渋滞がなければ片道3時間半。家族の疲労も、恵子さんが気を揉む時間も大きく減るでしょう。
2.費用分担のルール化
実家に泊まるからタダ、という前提をやめましょう。滞在中の食材の買い出しと支払いはすべて大輔さんの側が持つ。目安として1泊5,000円相当を現金で渡すか、同額分の食材や日用品を持参する。これだけで恵子さんの家計への圧迫はほぼ解消します。お盆玉も、お母さまの気持ちに甘えきらず、金額に上限を設ける相談をすることを勧めました。
3.今回のことを、母の家計と将来について話すきっかけにする
実はこれが最も大切です。年金の額、医療費、介護への備え、実家の維持費。切り出しにくい話題ですが、親が我慢の限界まで黙っているほうが、家計的にも関係的にも、よほど高くつくからです。
相談を終えて数日後、大輔さんから報告の電話がありました。FP相談を経て、母の恵子さんに自分の言葉で伝えたというのです。
「母さん、この前はごめん。母さんが毎回どれだけお金と体力を使ってくれてたか、考えたこともなかった。今年はお盆を外して、9月の連休に2泊だけにする。食費も全部こっちで持つ。だから、無理のない形でまた顔を見せに行かせてほしいんだ」
電話口の恵子さんは、少し間を置いてこう答えたそうです。
「……ありがとう、待ってるよ。子どもたちの顔、やっぱり見たいからね」
なお、後日大輔さんが思い切って年金額を尋ねたところ、実際の金額も相談時に仮置きした水準とほぼ同じだったといいます。息子に心配をかけまいと、母はそれすら一度も口にしたことがなかったのです。
親孝行とは、渋滞や出費に耐えることではありません。お互いの財布と体力を数字で見える化し、無理のないかたちを言葉にして設計すること。「来なくていいよ」という寂しい一言の裏には、「本当はいつでも会いたい」という本音が隠れています。それを引き出すのは気合いや我慢ではなく、冷静な家計の対話なのです。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
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