「食べることは削れない」娘と始めた家計の見直し
香織さんがさらに気になったのは、父が以前より痩せていたことです。
体重を量ると、半年ほどで約6キロ減っていました。朝は食パン、昼はうどんや総菜、夜は豆腐だけという日もあり、1日2食で済ませることも増えていたといいます。
香織さんは食料品を定期的に届けると提案しましたが、修一さんは「娘に養ってもらうつもりはない」と拒みました。
そこで、二人で毎月の支出を見直すことにします。
確認すると、ほとんど使っていない固定電話や動画配信サービス、補償内容が重複した保険などが見つかりました。契約を整理すると、月に約9,000円を減らせることが分かります。
一方食費はこれ以上削らず、毎月3万5,000円を確保することにしました。給湯器や家電の買い替えに備える費用も、日常生活費とは別に管理します。
厚生労働省『高齢者の低栄養予防』では、高齢期の筋肉量を維持するため、肉、魚、乳製品、大豆製品などからたんぱく質を取り、1日3食を規則正しく食べることが重要だとしています。
修一さんは受診時に医師にも食生活を相談し、体重を定期的に確認するようになりました。香織さんとは月に2回、一緒に買い物をし、その日は魚や肉をまとめて購入しています。
「パン1個でも空腹はしのげます。でも、それを夕飯と呼ぶのが当たり前になっていたことには、自分でも気づいていませんでした」
現在も修一さんは値段を見比べ、家計簿をつけています。ただ、預金残高を守るために食事の回数まで減らすことはやめました。
高齢期には、医療費や住宅の維持費など、将来への備えも必要です。しかしその不安から毎日の食事を削り続ければ、健康を損ない、かえって医療や介護の負担が増える可能性もあります。家計が苦しくなったときは、食費だけを減らすのではなく、固定費や利用できる制度を含め、生活全体を見直すことが大切です。
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