(※写真はイメージです/PIXTA)

孫が遊びに来ることを楽しみにしている祖父母は少なくありません。しかし、訪問の回数が増え、食事や送迎まで日常的に任されるようになると、体力や家計への負担も大きくなります。家族だからといって、いつでも予定を変えられるわけではありません。無理なく関係を続けるには、頼る範囲を曖昧にしないことが大切です。

「今から行くね」夕方に届く娘からの連絡

「今日、子どもたちを連れて夕飯を食べに行ってもいい?」

 

長女の由佳さん(仮名・43歳)から連絡が届いたのは、午後4時を過ぎたころでした。

 

洋子さん(仮名・72歳)は、夫の敏夫さん(仮名・73歳)と二人分の夕食をすでに準備していました。冷蔵庫の中身を確認しながら、肉を解凍し、ご飯を追加で炊きます。

 

「今日の夕飯、また増やさなきゃ……」

 

由佳さん一家が車で20分ほどの場所へ引っ越してきたのは2年前です。夫婦共働きで、小学4年生と1年生の子どもを育てています。

 

当初、訪ねてくるのは月に1、2回ほどでした。孫と食卓を囲めることがうれしく、洋子さんも好物を用意して待っていたといいます。

 

ところが、次第に週2回、繁忙期には週3回ほど来るようになりました。事前に相談されることもあれば、当日の夕方に「今から行くね」と連絡が届く日もあります。

 

由佳さんは「仕事の後に夕飯を作らなくて済むから助かる」と話していました。孫たちも、祖母の家へ行くことを楽しみにしています。

 

洋子さん夫婦の年金は月約23万円。住宅ローンは完済していますが、預貯金約1,600万円は、自宅の修繕や医療、介護に備えて残していました。

 

娘一家が来る日は、肉や魚、孫用の菓子や飲み物も買い足します。月の食費は以前より3万円ほど増えました。夏休みには昼食も必要になり、外出先の入場料や外食代を夫婦が負担することもあります。

 

「孫に使うお金が惜しいわけではないんです。ただ、来る回数が増えても、娘は私たちの負担が増えているとは思っていないようでした」

 

総務省『家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得が月22万1,544円である一方、消費支出は26万3,979円。平均では手取り収入を支出が上回っており、年金月23万円の夫婦にとって、毎月数万円の負担増は小さくありません。

 

家計だけでなく、洋子さんの予定も変わっていきました。

 

孫が来る日は夕食の準備と片づけが増え、帰宅は午後9時を過ぎます。翌朝まで疲れが残り、体操教室や友人との約束を断ることもありました。

 

それでも、「来ないで」と言えば、孫を拒んでいるように受け取られる気がして、何も言えなかったのです。

 

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