(※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代には何気なく買っていた食品も、収入が年金中心になれば、その値上がりを重く感じることがあります。特に食費は毎日の生活から切り離しにくい支出です。大きなぜいたくを望んでいるわけではなくても、「以前と同じものを買う」ことが難しくなるケースもあります。

「払えないわけじゃないですが…」値札を見るたび迷うように

スーパーの鮮魚売り場で、修一さん(仮名・75歳)は刺身の盛り合わせを手に取りました。値札は798円。

 

しばらく見たあと、「今日はやめておくか」と棚に戻します。

 

修一さん(仮名・75歳)は、大学卒業後から約40年間、会社員として勤務。50代で離婚して以降、一人暮らしを続けています。現在は住宅ローンを完済したマンションで暮らし、年金は月約18万円です。

 

現役時代から魚が好きで、週末にはスーパーで刺身を買うのが楽しみでした。

 

退職後には時間もでき、「これからは平日にゆっくり外で昼飯を食べるのもいいな」と考えていたそうです。実際、70歳くらいまでは週に1度ほど近所の定食屋やそば店へ出かけていました。

 

ところが最近、その回数が減っています。

 

以前なら千円ほどで食べられた昼食も、店によっては千円台半ばになることがあります。スーパーでも、魚だけでなく米や野菜、調味料などさまざまな商品の値段が気になるようになりました。

 

「一つひとつは100円、200円高くなっただけでも、レジで合計を見ると、前よりずいぶん高くなったなと思うんですよ」

 

総務省『消費者物価指数(全国)2025年平均』によると、2025年の総合指数は前年比3.2%上昇しました。なかでも「食料」は6.8%上昇しており、全体を上回る伸びとなっています。

 

修一さん自身、生活に困窮しているわけではありません。

 

年金月18万円に加え、退職時から残してきた貯蓄もあります。持ち家のため毎月の家賃もかかりません。

 

それでも、管理費や修繕積立金、固定資産税、光熱費、通信費、医療費など、生活を続けるための支出はあります。

 

「年金18万円全部を食事や遊びに使えるわけじゃないでしょう。これから病院にかかることも増えるかもしれないし、家の設備だって壊れるかもしれない」

 

そのため、まず削りやすかったのが外食でした。

 

月に4、5回行っていた店を2回ほどにする。スーパーでも、刺身を手に取って「今日は別に食べなくてもいいか」と考える。

 

一度の節約額は数百円です。それでも、そんな場面が重なるにつれて、修一さんには別の思いも生まれていました。

 

「豪華なものを食べたい、ということじゃないんです。でも刺身くらい、いちいち値段を気にしないで買いたいなとは思います」

次ページ家計簿をつけて考え直した「削りたいもの」

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