今回は、「ケニア」の経済状況と今後の展望を説明します。※本連載は、公認会計士・税理士で、久野康成公認会計士事務所所長、株式会社東京コンサルティングファーム代表取締役会長の久野康成氏が監修した『新興国ビジネス業界地図』(TCG出版)から一部を抜粋し、激変する新興国市場のうち、特に注目したい4カ国の現状と今後の動向予測を見ていきます。

「インフラ整備」「雇用創出」を目指すウルフ政権

<政治・経済動向>

 

●積極的な投資を進めるウルフ政権

2013年、ウルフ・ケニヤッタ大統領就任。インフラ整備や雇用の創出を実現すべく、過去最大規模の予算案(2014年7月~2015年6月)を発表した。

 

●ケニア大学襲撃

2015年4月イスラム過激派グループ5人がケニア大学構内に侵入しキリスト教徒を標的に148人が殺害された。近年、シャバブによるテロが多発している。

 

 

<今後の展望>

 

●産油国としての期待

2013年にケニアで油田を発見し、東アフリカ初の産油輸出国になり、2016年からの輸出開始を目指す。これにより、地下資源に乏しく外貨不足と問題の多かったケニア経済が上向くことが見込まれる。

 

●人材が豊富なケニア

ケニアは、アフリカ大陸内では比較的識字率・教育水準が高いため、人材が豊富である。

 

<人口>

 

●約4,440万人(2013年、国連人口基金)

●近未来予測

2025年⇒約5,715万3,100人

2050年⇒約8,389万200人

ケニアは0歳から14歳の層に人口が集中している。そのため人口の増加・経済成長が著しい。2015年時点での平均寿命は61歳とまだ短いが、年々寿命は伸びており、今後も人口が増加し続けることが見込まれる。

 

更なる株価上昇が期待できる「ナイロビ株式市場」

[図表1]実質GDPと1人当たり名目GDP

出所:IMF‘WorldEconomicOutlookDatabase,October,2014’
出所:IMF‘WorldEconomicOutlookDatabase,October,2014’

 

実質GDP、1人当たりの名目GDPともに、特に2012年を境に高成長を見せている。この背景には、エネルギー資源の発見等ホットなニュースが集まり、ケニア経済が急成長していることが関係している。その反面、国民間での経済格差の拡大が問題となっている。

 

[図表2]ケニア国債(10年)の利回り

 

利回りは2010年から2011年にかけて倍増したが、近年では平均12%近辺を前後している状況である。2014年よりドル建の債券を初めて発行するなど、インフラ整備の資金繰りが膨らみ資金需要が高まりを見せる。格付けのための準備も進められている。

 

[図表3]ナイロビ証券取引所株価の推移

 

ナイロビ株式市場は非常に熱い。2010年から2015年までに1.5倍近く株価を上げており、時価総額は2倍近く値上がりしている。専門家の中には、この株価上昇は始まりに過ぎず、今後さらに成長するとの声もある。

 

[図表4]為替レートの推移(円/ケニア・シリング)

 

円とケニア・シリングとの為替の大幅な上下変動は見られないが、2013年よりシリング高となった。この背景には、2013年9月、首都ナイロビの高級ショッピングモールでの爆弾テロが関係していると考えられる。

新興国ビジネス業界地図

新興国ビジネス業界地図

久野 康成

TCG出版

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