資産の「見える化」が必要な4つの理由
前項の内容を考えると、定年後の人たちは自分の健康状態を勘案し、いつまで働けるか、いつくらいから介護が必要になるかを想定しておくべきだろう。すなわち自分の死から逆算して、おカネをどうやりくりするかを考えておくのだ。
まずは、自分の資産がどれだけあるのか、預貯金、株式、投資信託などの金融資産と、不動産などを含めた総資産のリストを作る。同時に、生命保険などの保障の内容を把握し、それをリスト化する。
──こうして資産の「見える化」を行うのだ。
すると、自分の資産について把握できていなかった部分に気づくことがある。資産をリスト化すると同時に、仕事や年金による収入額もしっかり把握しておくべきだろう。
定年後の人たちにとって、資産の「見える化」は、心理的な不安を解消するために極めて重要だ。具体的には、以下の4つの理由が挙げられる。
①資産寿命を延ばし老後破産を防止するため:定年後は収入が減り、貯蓄を取り崩す生活になる。
・資金計画の策定:預貯金、不動産、退職金、投資信託などの保有資産をすべて把握し、「いくらあるか」を明確にすれば、毎月いくら使えるかが計算できる。
・資産寿命の認識:資産寿命、いわば、おカネが尽きる時期を正確に把握すれば、切り崩しのペースを調整し、資産を長持ちさせることができる。
②老後の「不透明な不安」を解消するため:多くの高齢者は「将来、おカネが足りなくなるのでは」という漠然とした不安を抱えている。
・具体的な数字による安心:資産の全体像が明確になれば、根拠のない不安から解放され、安心して日々の生活や趣味におカネを使えるようになる。
③認知機能低下や緊急時に備えるため:高齢期には、身体能力や認知機能の低下リスクが高まる。
・資産凍結の防止:自分がどの金融機関と取引しているか、どの口座にいくらあるかを明確にしておかないと、自身で管理できなくなった際に家族が資産を把握できず、凍結される恐れがある。
・スムーズな相続・管理:資産目録を作成することで、財産管理契約や将来の相続がスムーズになる。
④適切な資産運用・管理を行うため:自分のリスク許容度、すなわち、どれくらいの損失に耐えられるかを知る。
・リスクの把握:上記の過程で、どの資産をどれだけ保有しているかを確認する。
・「隠れ資産」の発見:忘れがちなインターネット口座やデジタルマネーを含め、すべての資産を整理する。
まとめると、定年後の資産の「見える化」は、単なる財産管理ではなく、「人生100年時代」を健康的に、かつ経済的な安心感を持って生き抜くために必須の準備だと言える。
佐藤 優
