コロナ禍で出現「おカネを使わない生活」を実践する若者世代
2020年初頭から日本と世界に蔓延した新型コロナウィルス感染症……この際の、いわゆるコロナ禍によって、おカネの使い方が大きく変わった。
家にじっと籠って、出歩かない。旅行も買い物も控え、外でお酒を飲むこともない。そんな人たちが、特に若者を中心に現れた。すると、意外におカネを使わずに生活できることが明らかになった。
たとえば若者世代では、余暇は月額1000円以下のネットフリックスを観て過ごし、スイーツはコンビニで買って済ませ、外食もしない。こうした「生活保守主義」を、定年後の人たちは見習うべきだろう。
「NTTドコモ」の資料などから考察すると、コロナ禍において日本の若者が見せた生活の節約術は、外出自粛による「巣ごもり需要」と、アルバイトの減少や将来への不安に伴う「金銭的困窮」が背景にあった。
また、この節約術は、単なる支出削減にとどまらない。デジタルツールを駆使した行動など、特筆すべきものがある。
シニア世代も参考にできる「節約行動」の一例
具体的には、以下のような節約行動が挙げられる。
①デジタルと自炊を組み合わせた食費の管理:コンサルティング会社「GOURICA(ゴウリカ)」によれば、自炊の徹底と節約レシピが活用されたとする。コロナ禍の外出自粛によって、SNSで流行した「節約レシピ」や「1週間まとめ買い」を参考にして、自炊を始める若者が急増したのだ。
「フードシェアリング」「ポイ活」も盛んになった。廃棄間近の食品を安く購入できるアプリ(「TABETE」など)を利用する人や、買い物で貯まるポイントを支払いに充あてる「ポイ活」が一般化した。また家庭菜園やガーデニングなどを行い、自宅で野菜を育てることで、食費を節約する動きもあった。
ただ、スーパーの「成城石井」の調査では、コロナ禍でもスーパーへの信頼性は高く、生鮮食品を手に取って選ぶ一方、ネットスーパーを利用するなどして賢く購入する傾向があった。
②サブスクや通信費の見直し:通信費を抑えるため、大手キャリアから格安SIMやオンライン専用の契約プラン「ahamo」「povo」「LINEMO」などへ切り替える動きが加速した。またサブスクリプションの整理も行われ、複数の動画配信サービスや音楽アプリなどを精査し、本当に必要なものだけに絞り込まれた。
③メルカリなどフリマアプリの活用:不要な服や本を売却し、必要なものは古着やリユース品を購入する「リユース消費」が若者を中心に定着した。
すべてを節約するのではなく、自分の趣味や「推し活」、あるいは将来のための勉強など、価値を感じるものにはおカネを使い、それ以外の日用品や服飾費などはフリマアプリの「メルカリ」などで中古品を活用して節約するというスタイルが定着した。これは、「メリハリ消費」と言えるだろう。
④資産形成への早期参入:「新NISA」の活用が増えた。将来における経済的な不安から、少額から始められる投資信託や株式投資に関心を持つ若者が増えたのだ。日常生活で節約したおカネを、資産形成に回すようになった。
これらの節約術については、「ケチ」だと言うのは正しくない。環境の変化に適応した行動だったのだ。賢い消費行動や趣味としての節約という面が強かった。
佐藤 優
※本記事は『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる〈実践・成功編〉』(飛鳥新社)の一部を抜粋したものです。記載内容は書籍発行当時のものですので、記載のサービス等は必ず最新情報ご自身で確認のうえご利用ください。

