生前贈与で後悔しないための「2つのポイント」
定年後の人たちが遭遇することには、生前贈与の話がある。そこには贈与税がかかってくるケースがある。ただ、贈与を受ける額が一人につき年間110万円までなら非課税。ゆえに、分割して何年かに分けて贈与する、あるいは受け取る方法もある。
相続争いでストレスを抱え込まないようにするには、話し合いを事前にしておくことだろう。その結果を明示する書類も作成しておくべきだ。おカネの問題で親族との絆を失うほど虚しいことはない。
その生前贈与で後悔しないためのポイントは、「老後資金の枯渇を防ぐこと」と、「ルール改正に対応すること」。特に2024年の税制改正以降は、早すぎる、あるいは多すぎる贈与は、逆効果になる可能性がある。
生前贈与で損をしないための具体的な方法
以下、損をしないための具体的な方法を整理しておこう。
①老後資金を最優先に確保:最も多い失敗は、子どもや孫への生前贈与によって自分たちの生活資金が不足すること。自分の余命を把握し、生活費や医療費を確保したあとの余裕分だけ贈与するのだ。また早すぎる贈与によっても資金ショートのリスクが生じる。70代になってから徐々に贈与を検討するのも一手かもしれない。
②2024年からの「相続贈与一体化」ルールの理解:2024年1月以降の贈与を見ると、相続対策の常識が変わった。亡くなる前の贈与が相続財産に加算される期間が、3年から7年に延長されたのだ。そのため「110万円まで非課税だから」と駆け込みで贈与しても、相続財産に持ち戻す額が増え、相続税の対象になり、生前贈与による節税効果が無駄になることがある。
③税制上の特例・制度を賢く利用:贈与税がかからない、または軽減される制度を活用すると、どうなるのか? まず暦年贈与(1人につき年110万円まで)を活用する際は、毎年確実に、計画的に贈与する(贈与契約書を必ず作成する)。
「孫」への贈与を活用する際は、孫は相続人ではないため、原則として相続開始前7年間の贈与を加算する対象に含まれない。ただ、孫が遺言書で財産を受け取る場合には、加算対象となる。そして住宅取得等資金の贈与では、子どもや孫が住宅を購入する場合、最大1000万円まで非課税になるが、住宅の性能によって限度額が異なる。
④贈与を記録:子ども名義の口座に親がおカネを移しても、子どもがその口座を使っていない場合、「名義預金」と見なされ、税務調査で相続税を課税されるリスクがある。そうならないためには、「贈与契約書を作成する」こと。いつ、誰に、いくら渡したかを記録するのだ。そうして、もらった子ども自身が管理できるようにする。
佐藤 優

