平均寿命ではなく「平均余命」が重要
定年後の人たちには、健康への不安がある。そして寿命に関して言えば、「平均寿命」ではなく、「平均余命」が大切だ。
特に定年後の人たちにとって、ゼロ歳時点の平均値である「平均寿命」よりも、その年齢時点での残り時間を表す「平均余命」が重要となる。その理由は、老後資金の計画やライフプランニングにおいて、より現実に即した「残り時間」を知る必要があるからだ。
そして医療費などのことを考慮すると、「健康寿命」も非常に重要になってくる。具体的に、以下、その理由を述べたい。
①「実際の残り時間」が長くなっているため:医療技術の向上などで長寿化が進む現代では、60歳や65歳時点で、「平均寿命」から引き算して想像する残りの人生よりも、実際の「平均余命」のほうが長い。30年以上の老後が待っている可能性が高い。60歳時点の余命の目安は、男性が約24年、女性が約29年だ。
②「老後資金の計算」に不可欠なため:必要となる老後資金は「残り時間×生活費」で決まる。「平均寿命」をベースに生活費を計算すると、それよりも長生きした場合には、資金が枯渇するリスクがある。自身の年齢における「平均余命」を知れば、現実的な資産運用や貯蓄計画が可能になる。
③「健康寿命」との差を意識するため:「平均寿命」と、健康上の問題で日常生活が制限されることのない「健康寿命」には、約10年の差がある。定年後の人たちにとっては、ただ長く生きることよりも、活動的に過ごせる時間を最大化することが求められる。そのためには、いつまでに何をしておくべきかという時間管理の指標として、「平均余命」が重要になる。
④働き方改革の再設計:60歳以降は「人生100年時代」を見据え、いつまで働くか、再就職するか、あるいは趣味に時間を使うかなど、残された「活動的な時間」に合わせて生き方を設計する必要がある。定年後は「あと何年、生きるか(平均余命)」ではなく、「残り何年、活動的に動けるか(健康寿命を含んだ平均余命)」を見据えた準備が重要である。

