定年後の結婚は「恋愛感情だけ」で突っ走ると失敗する
まず、定年後の人たちが再婚する際、互いの財産がどれだけあるかが、子どもたちの相続にダイレクトに響く。
結婚は自分たちだけの意思で成立するが、それによって、のちに子どもとの関係が悪化する可能性もある。よほど慎重にやらないと夫婦関係も親子関係も崩壊してしまい、老後の人生が台なしになることすらある。
また、どちらかに介護すべき親がいる場合、どのように面倒を見るか、そうした問題もある。高齢になって結婚相談所で相手を探す人のなかには、自分の親の介護などを任せたいがために登録している人もいるらしい。
介護を外部のサービスに頼むと、それなりにおカネがかかるので、結婚相手に任せてしまおう、そうすれば、おカネがかからない、というわけだ。こうした悪辣な人物もいるため、注意が必要だ。
そのため、定年後の結婚は、恋愛感情だけで突っ走ると、必ず失敗する。若いころのように甘いものではない。互いの生活を一緒に守っていくという生活防衛が、第一の目的となるのだ。
助け合って生きていくということであるならば、結婚という形に囚われる必要もない。近くに住んでいる者同士であれば、籍を入れずとも、互いに行き来しながら、自分たちの生活を高め合うこともできる。
このように定年後の結婚や再婚は、老後の寂しさを解消し、健康や経済面での相互サポートを得られる大きなメリットがある半面、財産管理、家族関係、介護問題など、特有の課題も多い。
そのため事前の理解と話し合いが不可欠となるが、具体的には以下の点に留意してほしい。
①財産・相続問題
・遺産相続の複雑化:再婚すると、新パートナーは法律上の相続人になる。子どもがいる場合、事前の対策をしておかないと、再婚相手と前配偶者の子どもとのあいだで争いが起きる可能性がある。
・遺言書・婚姻契約書の作成:財産をどのように残すか(前配偶者の子にすべて継がせるのか、再婚相手に一定額残すのか)を明確にし、遺言書や婚姻契約(婚前契約)書を作成することが推奨される。
②子どもや家族との関係
・家族の同意と理解:子どもが親の再婚に反対する、あるいは財産目当てではないかと不信を感じるケースが少なくない。事前に話し合い、必要であれば関係を整理しておくことが望ましい。
③健康・介護の問題
・健康の悩み:どちらかが病気になった場合のケアやサポート体制について、認識を共有しておく。
・介護の負担:再婚直後に相手の介護が必要になるケースがある。どのような介護体制を築くか、話し合いが必要となる。
④年金や税金などの手続き
・遺族年金の受給資格:再婚すると、前配偶者の死によって受給していた遺族年金は原則、失権する。
・扶養控除:相手の扶養に入ると、税金や健康保険の面でメリットが得られる場合がある。
⑤再婚への心構え
・価値観を知る時間:寂しさゆえに焦って再婚などせず、お互いの価値観や生活ぶりを十分に理解する時間を持つ。
・精神的な自立:相手にすべてを依存するのではなく、対等なパートナーシップを築く意識が成功の鍵。
これらを事前に十分に話し合い、特に相続については専門家、すなわち税理士や弁護士に相談することを勧める。
