届出に必要な情報は「在留カード」に記載
外国人労働者を新たに雇用した場合、会社は国に対して何らかの届出をする必要があるでしょうか? 雇用対策法では、「事業主は、新たに外国人を雇入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、その外国人の氏名、在留資格、在留期間等の事項について厚生労働大臣に届け出なければならない」とされています。雇入れの際のみならず、離職時にも届出が必要というわけです。
もう少し具体的に見ていきましょう。 まず、届出が必要となるのは、外国人の採用時と退職時です。届出の対象となる外国人は、日本国籍を有しない方で、在留資格が「外交」「公用」以外の方たちですので、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などの一般的な就労の在留資格で働いている外国人は当然届出が必要になってきます。
では、どんな内容を届け出ればいいのでしょうか。届出項目としては、外国人の名前、現在の在留資格、在留期間、その者の国籍等、非常に基礎的な内容ですので、在留カードを確認すれば載っている事項です。ただ、退職の際、音信不通になり在留カードの確認ができないようなケースもあるかもしれませんので、会社は採用時に必ず在留カードの写しをもらい、管理しておくとよいでしょう。
書類の提出先は「ハローワーク」
どこへ届け出ればいいのかと言いますと、厚生労働大臣に届け出るとあるので、ハローワークへ届け出ることによって事足ります。実務上の届出方法は、以下の2つのケースが考えられます。
①雇用保険の被保険者となる外国人の場合
当該外国人が、雇用保険の被保険者となる場合は、会社が外国人の入社時に雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出することで、外国人雇用状況の届け出をしたこととなります。退職の際も雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出することで、外国人雇用状況の届け出をしたこととなります。要は、通常の雇用保険の手続きをすればよいということです。
②雇用保険の被保険者でない外国人の場合
当該外国人が、雇用保険の被保険者とならない場合は、雇用保険の資格取得届及び喪失届を出しませんので、改めて、雇い入れおよび離職の際に、外国人雇用状況届出書という書類をハローワークに提出することになります。
①の場合は、日本人と同様に通常行う雇用保険の手続きをもって届出となりますので、忘れるケースは少ないですが、②の場合は、会社が外国人雇用状況届出書の存在すら知らない場合もあり、この届出を行っていないことも多いので注意が必要です。
最後に派遣労働者の場合を確認していきましょう。
派遣労働者に関して外国人雇用状況の届出を行うのは、派遣元事業主です。派遣先ではありません。特定労働者派遣の場合は、その派遣元で採用された時点で届け出をする必要があります。一般労働者派遣の場合は、実際に働く派遣先が決まり、派遣元と雇用契約が生じる都度、雇い入れの外国人雇用状況の届出が必要になってきます。