「日本人の配偶者等」は労働制限のない在留資格を所持
今や国際結婚は珍しいことではありません。多くの外国人が日本人の配偶者としてわが国で暮らしています。
日本人と結婚した外国人の多くは、「日本人の配偶者等」の在留資格を所持しています。「日本人の配偶者等」及び、永住者、定住者、永住者の配偶者等の4つの在留資格は、就労制限のない在留資格ですので、日本人と同様に単純労働などの仕事にも就くことができます。雇う側としては、どのような仕事でも頼めるわけですから、他の在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格で働く外国人よりも使い勝手が良いといえるかもしれませんね。
これは、日本で就労してお金を稼ぎたいと願う外国人の側からしても、学歴要件や実務経験要件などが問われる就労の在留資格よりも、日本人との結婚という事実のみで就労制限のない在留資格が得られる「日本人の配偶者等」という在留資格は魅力的に映るようです。故に偽装結婚などが多いのもまた事実です。
もし日本人の配偶者と離婚したら?
さて、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人を雇入れた場合、気を付けなければいけないのは、その外国人が日本人と離婚した時です。
日本人と結婚しているからこそ、就労制限のない「日本人の配偶者等」という在留資格を所持しているのであって、いざ離婚してしまえば、日本人の配偶者の地位を失うわけですから、当然、「日本人の配偶者等」の在留資格も失うこととなります。いままで日本人同様、何の就労制限もなく働けていたとしても、働くどころか、ほかの在留資格への変更が認められなければ、最悪、帰国せざるをえなくなってしまいます。
具体的な手続きとしては、「日本人の配偶者等」で在留していた外国人が、日本人と離婚した場合には、14日以内に入国管理局へ届け出なければならないとされています。この届け出を怠れば罰金が科せられたり、在留資格を取り消されてしまいます。
離婚後も雇用を継続するなら、在留資格の変更が必須
日本人と離婚した後も日本での生活を希望するのであれば、他の在留資格へ変更する必要があります。また、会社としても雇っていた「日本人の配偶者等」であった外国人を引き続き雇い続けたいのであれば、やはりその仕事に適した在留資格、例えば「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格への変更が必要です。
ただしこの場合は、いままでのように就労制限なく働かせることはできません。その在留資格で認められた仕事にしか就かせることはできなくなります。日本人と離婚したことを知りつつも何ら手続きを経ず、「日本人の配偶者等」として、その外国人を就労制限なく雇い続けていれば、それは会社も不法就労の助長ということになってしまいます。
「日本人の配偶者等」で在留していた外国人に日本人の実子がいる場合などは、「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更が認められる可能性がありますので、この在留資格変更を検討するのが一般的です。先に述べたように、「定住者」も就労制限のない在留資格ですので、「定住者」への在留資格変更が許可させれば、「日本人の配偶者等」の時と同様に就労制限なく働けるということになります。