今回は、外国人労働者が就労のための在留資格を取得したあとでも、勤務先変更等の理由によっては入管に届け出る必要がある、「契約機関に関する届出」「所属機関に関する届出」について見ていきます。※本連載は、至誠法務労務サポート代表、社会保険労務士、行政書士の井出誠氏が、経営者が外国人を雇用する際の基礎知識を解説します。

勤務先の名称や所在地の変更、転職・退職でも必要に

就労の在留資格を取得し、日本で働き始めた外国人は、その後、その在留資格の期限が到来するまで一切入国管理局に対して届出等が必要ないかというと、そうではありません。やはり在留資格取得時に届け出ている内容に変更等が生じれば、速やかにその変更内容を届け出る必要があります。

 

具体的には、所属している会社の名称や所在地が変更になった場合や、その会社を辞めた場合、また新たな会社で働き始めた場合などには、入国管理局に対して一定の届出が必要になってきます。これら入国管理局に対する届出に関しては、外国人労働者が所持している在留資格によって、その届出の名称が異なりますので、下記でもう少し詳しく見ていきたいと思います。

「契約機関に関する届出」or「活動機関に関する届出」

まず、技術・人文知識・国際業務、興行、技能、高度専門職1号イ又はロ、高度専門職2号(イ又はロ)、研究の在留資格を有する中長期在留者に関して、契約機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は契約機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結があった場合には、これらの事由が生じた日から14日以内に中長期在留者本人が、最寄りの地方入国管理官署に対して、【契約機関に関する届出】を行う必要があります。

 

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を有してA社で通訳の仕事を行っている者が、A社との雇用契約を終了し、B社にて通訳の仕事で雇用契約を新たに締結した場合、A社との契約終了及びB社との契約締結の両方について【契約機関に関する届出】を行うが必要があるのです。

 

これに対して、教授、高度専門職1号ハ、高度専門職2号(ハ)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学又は研修の在留資格を有する中長期在留者に関して、活動機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は活動機関からの離脱、移籍があった場合には、これらの事由が生じた日から14日以内に中長期在留者本人が、最寄りの地方入国管理官署に対して、【活動機関に関する届出】を行う必要があります。

在留カードの写しを同封すれば、郵送での届出も可能

【契約機関に関する届出】及び【活動機関に関する届出】と、名称は違えど、届出する内容はどちらも似たような内容です。届出方法としては、窓口に持参する場合のほか、郵送での届出も可能です。その際は、在留カードの写しを同封する必要があります。

 

これらの届出を知らなかった、忘れていた等で怠れば、その後の自身の在留資格変更時や在留資格更新時に不利になる可能性も十分考えられますので、あまり簡単に考えない方がよいでしょう。外国人労働者が届出を怠っていないか、雇用主はしっかり管理してあげる必要がありますね。

本連載は書下ろしです。原稿内容は掲載時の法律に基づいて執筆されています。

※外国人就労ビザ相談センター八王子
http://www.visa802.com/

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