(※写真はイメージです/PIXTA)

共働き世帯が増えるなか、祖父母が孫の送迎や預かりを担う家庭もあります。家族には頼みやすく、祖父母も最初は喜んで引き受けるでしょう。しかし頼まれる回数が増え、予定や費用の負担まで広がっても、「もう難しい」と言い出せず、生活の中心が孫に変わってしまうことがあります。

「週に一度だけ」のはずが、いつの間にか毎日の役目に

午後2時半になると、洋子さん(仮名・72歳)は台所の時計を何度も確認します。

 

小学校へ孫を迎えに行く時間が近づいているからです。夫の敏夫さん(仮名・73歳)は車の鍵を手に取り、玄関で待っていました。

 

「今日は体操教室の日だったんじゃないの?」

 

敏夫さんが尋ねると、洋子さんは小さく息をつきます。

 

「休むって連絡した。迎えに間に合わないから」

 

夫婦が小学2年生と5歳の孫の世話を始めたのは、1年ほど前。近隣に暮らす長女の由香さん(仮名・42歳)が、勤務先で正社員になったことがきっかけでした。

 

当初頼まれたのは、週に一度、小学生の孫を学校から自宅へ連れて帰ることだけです。

 

「残業の日だけ助けてもらえない? 夕方には迎えに行くから」

 

由香さんの夫も働いており、両親だけでは予定が回らないと聞き、洋子さんは快く引き受けました。

 

「困ったときはお互いさまよ。孫にも会えるしね」

 

ところが、週に一度だった送迎は、少しずつ増えていきます。下の孫が保育園で熱を出せば、洋子さんが迎えに行きました。学校の振替休日や長期休暇には、朝から二人を預かることもあります。

 

由香さんから届く連絡は、次第に相談ではなく予定の報告に変わりました。

 

「明日、会議だからお願いね」

 

「来週の水曜は保育園のお迎えも頼める?」

 

洋子さんが返事を迷っている間に、「助かる、ありがとう」と続けて送られてくることもありました。

 

夫婦の年金収入は月約22万円。住宅ローンはありませんが、預貯金1,500万円は、今後の医療費や自宅の修繕に備えて残しているお金です。

 

孫を預かる日は、夕食や菓子、飲み物も夫婦が用意していました。習い事への送迎に使うガソリン代や、休日に出かけた際の入場料まで含めると、毎月2万~3万円ほど支出が増えています。

 

「娘からお金をもらいたいわけじゃないんです。でも、これが何年続くのかと思うと不安でした」

 

こども家庭庁『令和7年 放課後児童健全育成事業の実施状況』によると、放課後児童クラブの登録児童数は157万645人で、過去最高を更新しています。仕事と子育てを両立する家庭の支援需要は大きく、祖父母だけに頼らない受け皿の重要性が高まっています。

 

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