「運転できなくなったらどうする?」改修後に決めた三つのこと
家がきれいになると、長男はひとまず安心したものの、別の心配が残りました。
「家を直しても、車に乗れなくなったら病院へ行けないだろう」
正志さんも、その点だけは否定できませんでした。
改修前は、「運転できる間は何とかなる」と考えるだけで、その先について夫婦で話したことはありません。900万円をかける以上、数年で暮らせなくなっては意味がないと、初めて具体的に備えることにしました。
まず、通院先に相談し、状態が安定している間は近隣の診療所と連携できることを確認。自治体の高齢者向け乗合タクシーにも登録しました。
次に、日用品は週1回の宅配を利用し、重い物を買うために車を出す回数を減らしています。近所に住む知人とも、どちらかが運転できなくなった場合は買い物を助け合うことになりました。
さらに夫婦は、75歳を迎えるたびに運転や健康状態を見直し、どちらか一人でも自宅生活が難しくなったときは、住み替えを改めて検討すると子どもたちに伝えました。
「死ぬまで絶対にここにいる、と意地を張っているわけじゃないんです」
和子さんはそう話します。
「今はまだ、ここで自分たちのことができる。だから、できる間はこの暮らしを続けたいんです」
国土交通省がまとめる住宅リフォームの支援制度には、自治体による耐震改修への補助のほか、断熱改修への支援があります。また、要支援・要介護認定を受けた人が手すりの設置や段差解消などを行う場合、介護保険から原則20万円を上限に住宅改修費が支給される仕組みもあります。ただし、対象工事や補助額、申請時期は制度によって異なるため、着工前の確認が必要です。
正志さん夫婦が選んだのは、不便さに目をつぶって住み続けることではありませんでした。家を直すだけでなく、車を手放したあとの移動手段や、住み替えを再検討する条件まで決めたうえで、今の暮らしを選んだのです。
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