(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後は住み慣れた土地を離れ、自然豊かな地域で暮らしたいと考える人もいるでしょう。しかしその時期は、離れて暮らす親の老いが目立ち始める時期と重なることも。住居や資金の準備を進めていても、親の体調や生活状況によって、夫婦の計画を見直さざるを得ないことがあります。

契約を目前に控えた夜、母から届いた短いメール

「ここなら、念願だった家庭菜園もできそうだな」

 

修一さん(仮名・65歳)は、妻の恵美子さん(仮名・64歳)と、平屋の庭を眺めながら話しました。

 

修一さんは大学卒業後から勤めた会社を65歳で退職。退職金は約1,800万円で、夫婦の年金は合わせて月約20万円です。住宅ローンを完済した自宅を売却し、以前から憧れていた地方へ移住する計画を立てていました。

 

見つけたのは、海まで車で20分ほどの住宅地にある中古住宅です。スーパーや診療所までは車で10分程度。古い家でしたが、水回りは改修済みで、価格は約1,200万円でした。

 

自宅の売却代金で購入費をまかない、退職金は生活費や将来の医療・介護費として残す予定です。何度も現地を訪れ、近隣の交通事情や冬の暮らしも確認しました。

 

「来週、契約しよう」

 

そう決めた夜、修一さんのスマートフォンにメールが届きました。送信者は、電車で1時間ほど離れた場所に一人で暮らす母の静江さん(仮名・87歳)です。

 

「昨日の夜、知らない男の人が家に入ってきた。今日は一人でいるのが怖い」

 

修一さんは慌てて電話をかけましたが、静江さんは「もう帰ったから大丈夫」と話すだけでした。

 

翌朝、夫婦で静江さんの家を訪ねると、玄関の鍵は掛かっていました。室内にも誰かが入った形跡はありません。

 

ところが、冷蔵庫には同じ総菜がいくつも並び、電気料金の督促状も届いていました。静江さんは前日に買ったものを覚えておらず、知らない男性についても、話すたびに服装や入ってきた時間が変わりました。

 

「最近、こういうことはほかにもあったの?」

 

恵美子さんが尋ねると、静江さんは目を伏せました。

 

「夜になると、誰かいるような気がするのよ」

 

それまで静江さんは、買い物も通院も一人でこなし、電話ではいつも「何も困っていない」と話していました。しかし、夫婦が知らないところで、暮らしに小さな変化が重なっていたのです。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、65歳以上の男性の18.3%、女性の25.4%が一人暮らしになると2025年時点で推計されています。高齢者の単身生活が珍しくない一方、年齢を重ねるにつれて、家族や地域による見守りが必要になる場合もあります。

 

9月17日(木)11:00配信スタート!

 

配偶者の預金は?子ども名義の生命保険は?

事例で深堀り!「相続税の税務調査」

 

 

富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部<<

次ページ「今ここを離れて、本当に大丈夫?」妻が口にした迷い

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧