「もう一周したいわけじゃない」旅のあとに見つけた次の予定
最初に考えたのは、もう一度長期旅行へ出ることでした。しかし旅行サイトを開いても、以前ほど気持ちは高まりません。
「世界一周をもう一回したいわけじゃないんですよ。あれはずっと夢だったから特別だったんです」
一方、6,000万円ある貯蓄を見ても、気持ちは満たされませんでした。
旅行に430万円を使ったことで、一時は「使いすぎただろうか」と不安になりましたが、家計を書き出してみると、すぐ生活に困る状況ではありませんでした。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、月平均の可処分所得は11万8,465円、消費支出は14万8,445円。平均では約3万円の不足となっています。老後の資金計画では、旅行などの一時的な大きな支出だけでなく、その後の日常生活費を継続して賄えるかを考える必要があります。
修司さんも今後の生活費やマンションの修繕、医療・介護への備えとして残す金額を改めて整理しました。
ただ、お金の見通しが立っても、「毎日何をするか」という問題は残ります。そんなとき、旅行中に撮影した写真を見た友人から、「ちゃんと整理したら面白いんじゃない?」と言われました。
修司さんは近所の写真講座へ通い始めました。そこで知り合った人から地域の写真展への出品を勧められ、今では月に数回、カメラを持って街を歩いています。
海外へ行くほど大きなイベントではありません。それでも、撮影する場所を探し、写真を選び、人に見せる予定ができると、一週間の過ごし方が変わりました。
修司さんは現在、次の海外旅行も考えています。ただし、以前のように「人生最大の目標」にはしていません。
「旅は楽しかった。でも、それだけを楽しみに何年も生きるのはもういいかな。帰ってきたあとにも生活は続きますから」
老後資金を準備し、長年の夢を叶えることは大切です。しかし、夢を実現したあとにも日常は続きます。
「いつかやりたいこと」だけでなく、「普段の一日をどう過ごしたいか」。修司さんにとって世界一周は、夢を叶えた旅であると同時に、その先の老後を考え直すきっかけにもなりました。
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