「ふるさと納税で10万円分使った」高額納税自慢にショックを受け…「俺は5万円すら無理」と自分の収入に落ち込む人がしている〈大きな誤解〉

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(※写真はイメージです/PIXTA)

SNSの普及によって、私たちは以前よりもはるかに多くの情報を手に入れられるようになりました。お金に関する情報も例外ではありません。ママ友のインスタ、投資家YouTuberの動画、Xで流れてくるポスト……。こうした情報を見ていると、つい焦りが生まれてしまいます。しかし、焦りを起点とした行動は不安をさらに強め、いい結果につながりにくいものです。櫻井かすみ氏の著書『不安通貨』(Gakken)より、情報が溢れる現代で、お金の不安がなかなか消えない根本原因を探ります。

「1万円を得る喜び」より「1万円を失う苦痛」のほうが強く感じる

前の項では、SNSを通じた比較が不安通貨を増やすことをお伝えしました。では、なぜ比較はこれほどまでに強い不安を生むのでしょうか。そして、なぜ不安は一度生まれると自然に消えることなく、むしろ増え続けるのでしょうか。その答えは、私たちの脳の仕組みの中にあります。

 

人間の脳は、長い進化の過程で「危機を避けること」を最優先に発達してきました。原始時代であれば、楽観的でいるよりも、少しでも危険の兆候を察知して警戒するほうが生き延びる確率は高かったはずです。そのため私たちの脳は、不確実な状況に置かれると、安心よりも先に不安を強く感じるようにできています。

 

心理学では、この傾向を「ネガティビティ・バイアス」と呼びます。ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事のほうが、記憶にも感情にも強く残りやすいという認知の偏りです。

 

ポジティブな結果が出ても「たまたまかもしれない」と疑い、ネガティブな結果が出ると「やっぱりダメだった」と強く刻まれる。このネガティブな体験のほうが記憶にも行動にも強く残るという非対称性が、不安通貨の増殖を加速させる土壌になっています。

 

この特性をさらに明確に示したのが、ダニエル・カーネマン(ノーベル経済学賞を受賞)とエイモス・トベルスキーによる行動経済学の「プロスペクト理論」です。

 

この理論が明らかにしたのは、人は同じ金額の利得と損失を比べたとき、損失のほうが大きく感じられるということ。その後の研究や他の解説では、おおよそ2倍以上強く感じる傾向があるともいわれています。

 

つまり、得をする喜びよりも、損をする不安のほうがはるかに大きい。人は「幸せになりたい」という欲求よりも、「損をしたくない」「不安を避けたい」という感情に強く突き動かされることが、この研究によって示されています。例えば、「1万円を得る喜び」より「1万円を失う苦痛」のほうが、心理的には強く感じるということです。

 

この心理的な違いが、私たちの行動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 

次ページ不確実性の時代に選ばれがちな「みんながやっているのと同じこと」

※本連載は、櫻井かすみ氏の著書『不安通貨』(Gakken)から一部を抜粋・再編集したものです。

不安通貨

不安通貨

櫻井 かすみ

Gakken

十分な貯蓄があっても将来が不安な人。高収入でも満たされない人。一方で、収入がそれほど高くなくても安心して暮らしている人。 その違いは、お金の額ではなく、「お金との向き合い方」にありました。 海外では国家レベ…

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