家族と離れて迎えた年末、同世代との交流に変化
入居して2回目の年末、恵子さんは一人で年を越すことになりました。由佳さん一家は夫側の実家へ帰省するため、年末年始は会えないことになったのです。
大みそか、マンションの共用スペースへ行くと、数人の住民が話をしていました。
「今年は娘さん来るの?」
顔見知りの女性に尋ねられ、恵子さんは、
「今年は向こうの実家に行くんです」
と答えました。女性も、
「うちも同じ。子どもには子どもの家族があるからね」
と笑いました。その言葉を聞いて、恵子さんは少し気持ちが軽くなったといいます。
シニア向けマンションに暮らしていても、住民同士が自然に親しくなるとは限りません。廊下ですれ違えば挨拶をしても、それ以上話さない人もいます。共用施設やイベントがあっても、参加するかどうかは本人次第です。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、65歳以上の人の84.6%が近所の人と「会えば挨拶をする」、61.3%が「外でちょっと立ち話をする」と回答しています。高齢期の暮らしでは、住居そのものだけでなく、近隣とのつながりをどう持つかも生活の一部になります。
それから恵子さんは、マンション内で開かれる催しに以前より参加するようになりました。同じ階に住む女性と一緒に買い物へ行ったり、月に数回は近くの喫茶店で昼食を取ったりしています。
由佳さんにも、「毎週じゃなくていいから、来られる日を先に教えて」と伝えるようになりました。
「住み替えたことを後悔しているわけではないんです。家の手入れもしなくていいし、何かあったときの安心感もあります。ただ、ここに来れば自然に人とつながれると思っていたところはありました」
高齢期の住み替えでは、建物の安全性や利便性だけでなく、そこでどのように一日を過ごすのかも重要です。家族との距離や、近隣住民との付き合い、外出する場所や予定まで含めて考えることで、住み替え後の生活をより具体的にイメージしやすくなります。
【関連記事】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

