初めて伝えた「4泊までにしてほしい」
今年5月、長男からメッセージが届きました。
「今年は8月3日から17日まで行こうと思っている。去年と同じで大丈夫?」
久美子さんはすぐに返事ができませんでした。断れば孫に会えなくなるのではないか、長男夫婦に冷たい親だと思われるのではないか。そう考えているうちに、夜中まで眠れない日が続きました。
正一さんに相談しても、最初は「年に一度くらい我慢すればいい」と言われました。そこで久美子さんは、前年にかかった費用と、滞在中に自分が担ったことを紙に書き出しました。
朝昼晩の食事、洗濯、布団の準備、買い出し、孫の遊び相手、送迎。正一さんも一覧を見て、ようやく負担の大きさに気づきました。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は月平均22万1,544円、消費支出は26万3,979円です。まとまった帰省費用を祖父母側が負担し続ければ、貯蓄の取り崩しを早める可能性もあります。
夫婦は長男に電話し、今年からは滞在を4泊までにしてほしいこと、食費と外出費は各家庭で分担したいことを伝えました。また、日中に長男夫婦が仕事をする場合は、孫を預けたままにせず、交代で世話をするよう求めました。
長男は驚き、「そんなに大変なら、もっと早く言ってくれればよかった」と答えました。
久美子さんは思わず、「言わなくても少しは分かってほしかった」と返しました。気まずい沈黙はありましたが、最終的には4泊し、その後は近隣のホテルに2泊することで話がまとまりました。
「孫に会いたくないわけじゃない。ただ、会うたびに私が倒れそうになる形では、長く続けられないよ」
久美子さんはそう話します。
負担を口にすれば関係が壊れるように感じることがあります。しかし我慢を重ねて突然拒絶するより、宿泊日数、費用、家事、子どもの世話をあらかじめ具体的に決めたほうが、行き違いは防ぎやすくなります。
お互いが無理なく続けられる距離感を話し合うことが、長く良い関係を保つ第一歩なのかもしれません。
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