頑なに実家を出ようとしない38歳長男
「息子がずっとこの家にいたほうがいいのか、強く言って出て行ってもらうべきなのか。答えがでないんです」
そう首を振るのは、吉田浩一さん(仮名・64歳)。
60歳で定年を迎えたあとも、同じ会社で再雇用として勤務しており、仕事内容は大きく変わらない一方で、年収は370万円と現役時代を大きく下回っています。年金受給まであと1年弱。老後も間近に迫っていました。
浩一さんには、38歳の長男・有志さんと33歳の次男がいます。それぞれ都内の企業に勤めており、次男は就職して2年ほど経つと自発的に一人暮らしを始めました。一方、長男はこれまで一度も実家を出たことがありません。
もちろん、これまでも折に触れて「家を出ないのか」と話をしてきました。「もういい年なんだから、一度くらい一人で暮らしてみたらどうだ?」……そう言っても、返ってくるのは決まって「お金がない」「もうちょっとだけいさせて」という言葉。
そんなやり取りを繰り返すうち、38歳になってしまったといいます。しかし、浩一さんももう64歳。もうすぐ年金暮らしが始まります。
「俺たちの生活も変わるから、このままずっと頼られちゃ困る。金がないっていうが、いったい何に使ってるんだ」
ある晩、改めて尋ねたところ、有志さんはしばらく黙ったあと、まさかの事実を口にしたのです。
「実はさ……俺、結構お金持ってるんだよ」
