自由を得た一方、地方暮らしで失ったものも
修平さんの朝は、目覚まし時計をかけずに始まります。
午前中に散歩をし、昼は自炊。午後は図書館へ行ったり、オンライン講座で語学を学んだりします。
「日曜日の夜に憂うつにならない。それだけでも辞めてよかったと思います」
一方、地方の低家賃生活には不便もありました。
最寄りのスーパーまでは車で15分。飲食店は少なく、終電も早いため、都心の友人と気軽に会うことはできません。古いアパートは断熱性が低く、冬の光熱費は想定以上でした。
さらに、平日の昼間に話す相手がいない日も続きました。
「人間関係のストレスから解放された一方で、人と話す機会そのものが極端に減るとは想像していませんでした」
移住から半年ほどたったころ、修平さんは町の清掃活動へ参加しました。そこで知り合った住民から、地域のパソコン教室を手伝ってほしいと頼まれます。
現在は月に数回、高齢者へスマートフォンやパソコンの使い方を教えています。謝礼は交通費程度ですが、修平さんにとっては生活のリズムを保つ機会になりました。
また、60歳未満で会社員を辞めた場合、原則として国民年金への加入も必要です。日本年金機構によると、令和8年度の国民年金保険料は月額1万7,920円です。FIRE後の支出を考える際には、家賃や食費だけでなく、税金や社会保険料も含めて見積もらなければなりません。
「年収ゼロでも困っていません」と話す修平さんですが、誰にでも同じ生活を勧めるつもりはないといいます。
「資産があるからではなく、支出を小さくできたから続いているんです。都心の生活をそのまま地方へ持ってきたら、たぶん無理でした」
修平さんは、資産が一定額を下回った場合や、生活費が年間200万円を超えた場合には、再び仕事を探すと決めています。完全に働かないことに固執せず、在宅の短期業務も選択肢に入れています。
FIREは、資産があれば誰でも実現できる暮らしではありません。家賃2万円という数字の裏には、住む場所や支出、人とのつながりを自分で選び続ける日々がありました。
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