老後を安心して迎えるために必要なこと
夫婦のどちらか一方だけが家計を管理している家庭は少なくありません。実際、俊夫さんも完全に直子さんにお任せ。通帳を見たこともありませんでした。
しかし、この夫婦のようなケースは必ずしも理想的とはいえません。お金の流れや資産の状況を共有していないと、万が一、管理している側が病気や認知症などで判断能力を失った場合、もう一方は預貯金や投資資産の全体像を把握できず、必要な手続きに苦労する可能性があります。
また、「実は老後資金が足りなかった」といった認識のズレが退職後に明らかになれば、困窮につながるリスクもあります。実際、総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の平均支出は月約26万円前後。その一方で、公的年金の平均受給額は夫婦で約22万円程度です。つまり、「取り崩せる貯蓄」がなければ、立ち行かなくなる可能性もあるのです。
俊夫さんの場合は、妻が将来を見据えて着実に資産形成を続けていたことに加え、「手元にお金があると使ってしまう」という夫の性格を熟知していたからこそ成り立った話。結果として、節約と資産形成は実を結び、退職後も住宅ローンを完済したうえで、長期のヨーロッパ旅行を楽しめるだけの余裕を手にすることができました。
しかし、これは幸運な例といえるでしょう。財布の管理をどうするかは家庭それぞれですが、少なくとも年に一度は、預貯金や投資資産、住宅ローンの残高、年金の見込み額などを夫婦で確認し、「わが家の資産一覧」を共有しておくこと。それが、定年後を安心して迎えるための第一歩になります。
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