「もう一人で心細い思いをしなくていい」と始まった同居
良子さん(仮名・84歳)は、夫を亡くしてから10年近く、夫婦で建てた戸建てに一人で暮らしていました。買い物や炊事は自分でできますが、脚力が落ち、重い物を運ぶことや庭の手入れには負担を感じるようになっていました。
ある冬、良子さんが自宅の玄関先で転び、近所の人に助けてもらったことがありました。大きなけがには至りませんでしたが、離れて暮らす一人息子の隆之さん(仮名・56歳)は強く心配しました。
「お母さんを一人にはしない。俺たちがこっちに来るよ」
隆之さんは妻と相談し、良子さんの家で同居することを提案しました。
「この家で最期まで暮らしたい」という良子さんの希望をかなえながら、息子夫婦にも見守ってもらえる。良子さんはありがたさで涙が出たといいます。
同居に先立ち、浴室に手すりを付け、和室を洋室に改修しました。息子夫婦が使う2階の設備も直し、費用約480万円は良子さんが負担しました。
「いずれ息子の家になるのだから、無駄にはならないと思いました」
同居直後は、隆之さんがごみ出しや庭仕事を担当し、妻も通院の日程を気にかけてくれました。良子さんも夕食を作り、掃除や洗濯を引き受けます。
しかし、1年ほどすると、少しずつ状況が変わりました。
隆之さんは仕事から帰ると自室で過ごし、夫婦は休日になると二人で外出しました。良子さんが買い物を頼むと、「宅配を使って」と言われることも増えました。
食費や光熱費は良子さんの口座から支払っていました。当初は息子夫婦から毎月5万円を受け取る約束でしたが、「引っ越しで出費が重なった」と、支払いは数か月で途絶えます。
「同じ家に人がいるだけでも安心だから」
良子さんは不満を口にしませんでした。しかし、家族が増えたのに会話は減り、夕食を一人で食べる日も珍しくなくなりました。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、令和7年時点で男性18.3%、女性25.4%と推計されています。一人暮らしへの不安から家族との同居を選ぶ人がいても、同居するだけで孤独や生活上の心配が解消されるとは限りません。
【8月9日(日)までに登録完了した方限定】
『5分でわかる!「資産管理会社」基本の「キ」』
セミナー資料抜粋版プレゼントキャンペーン
>>ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部<<
