(※写真はイメージです/PIXTA)

失業や離婚、心身の疲れなどをきっかけに、一度独立した子どもが実家へ戻るケースは少なくありません。しかし、滞在期間や生活費、家事の分担を決めないまま同居を始めると、親子双方が本音を言えず、不満だけが積み重なることもあります。

「いつまでいるの?」と言えなかった夫婦の決断

転機になったのは、奈緒さんが友人との旅行を計画していると知ったときでした。

 

「来月、友達と温泉に行ってくるね」

 

楽しそうに話す娘に、正一さんは思わず尋ねました。

 

「旅行へ行く余裕はあるのか?」

 

奈緒さんの表情が曇りました。

 

「自分の貯金から出すよ。ずっと家にいるんだから、気分転換くらいいいでしょう」

 

「それなら、家にも少し生活費を入れられるんじゃないか」

 

奈緒さんは黙り込み、部屋へ戻りました。

 

和美さんは夫を責めませんでした。ただ、このまま何も決めなければ、親子関係まで悪くなると感じました。

 

翌日、夫婦は奈緒さんと話し合いました。

 

「出ていけと言いたいわけじゃない。ただ、いつまで休むのか、これからどうするのかを一緒に考えたいんだ」

 

奈緒さんは、実家に戻れば何も考えずに休めると思っていたこと、就職活動で不採用になるのが怖く、応募を避けていたことを打ち明けました。

 

話し合いの結果、実家で暮らす期限をさらに6ヵ月と決めました。それまでの間、奈緒さんは貯金から月3万円を生活費として入れ、掃除と週3回の夕食づくりを担当します。毎週決まった時間に求人を探し、ハローワークにも相談することにしました。

 

ハローワークでは、求人紹介だけでなく、職業相談や応募書類の作成、応募先との調整などの支援も受けられます。窓口に加え、オンラインで求職登録や相談ができる地域もあります。

 

奈緒さんは当初、「期限を決められるなんて、追い出されるみたい」と反発しました。しかし、自分でも終わりの見えない生活に焦りを感じていました。

 

相談を重ねた結果、以前と同じ正社員だけに絞らず、紹介予定派遣や契約社員も含めて探すことにしました。数ヵ月後、奈緒さんは小さな会社の事務職に採用されます。

 

すぐに一人暮らしへ戻るのではなく、最初の給与から転居資金を積み立て、入社から4ヵ月後に実家を出る計画を立てました。

 

「ずっと置いてもらえると思って、甘えてた」

 

奈緒さんの言葉に、和美さんは答えました。

 

「私たちも、傷つけたくなくて何も言えなかったのよ」

 

親が黙って負担すれば、子どもも現状を変えるきっかけを失います。滞在期間や費用、家事、今後の目標を話し合うことは、親子が再び自立した関係に戻るための第一歩だったのです。

 

【関連記事】

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧