母が老人ホームへ…実家売却を決断した長男。買い手がついたのに「たった6畳」のせいで手放せないワケ【土地家屋調査士が解説】

母が老人ホームへ…実家売却を決断した長男。買い手がついたのに「たった6畳」のせいで手放せないワケ【土地家屋調査士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

誰も住まなくなった実家の買い手が見つかり一安心……と思った矢先、買主側の金融機関から「融資の許可が下りない」とストップがかかることがあります。その原因となり得るのが、長年放置されてきた建物の「未登記部分」です。「たった数畳の増築だし、役所からも指摘されていないから大丈夫」という楽観視は、厳格な不動産取引においては通用しません。今回は、実家の売却中に未登記の増築部分が発覚した60代男性Bさんの事例をもとに、土地の境界の専門家である土地家屋調査士・小川曜氏が「増築未登記」のリスクや注意点について解説します。※プライバシーに配慮し、複数の事例を再構成して記事化しています。

差額の固定資産税の納付と、家族への実家売却の話しづらさ

さっそく役所へ申出書を提出し、後日、役所の担当者が現地調査を行ったうえで、ようやく未登記部分の固定資産税評価がなされました。しかし、評価されたことによって税額が変更となり、過去5年間に遡って差額の固定資産税を納付しなければならないことに。

 

また、原本を紛失してしまった遺産分割協議書を再作成するため、母と弟に連絡を取り、今回の売却の経緯を説明することになりました。 Bさんは「実家を売却することへの後ろめたさがあり、話しづらい」といいましたが、母も弟も事情を察し、快く再作成の書類(署名・捺印)を準備してくれたそうです。

 

すべての書類が揃い、無事に登記が完了した旨を伝えたとき、Bさんは本当にほっとした表情を浮かべていました。

増築や未登記、建物の滅失は忘れがちなので要注意

今回のケースでは、相談を受けてから未登記の増築登記が完了するまで、結果的に約2ヵ月の期間を要しました。Bさんにとっては、まさに予期せぬトラブルの連続だったといえます。

 

相続の際は、どうしても「固定資産税の課税明細書」や「登記簿」といった公的な情報を鵜呑みにして遺産分割を進めてしまいがちです。しかし、今回のケースのように「公的な資料が必ずしも現在のリアルな不動産の状態を反映しているとは限らない」という落とし穴があります。

 

問題解決後、Bさんが去り際に、「自分の子どもたちに同じような苦労をさせないためにも、今後建物を解体したり、増築したりしたときは、面倒くさがらずにその都度きちんと手続きをしていきます」と話されていたのが印象的でした。

 

 

小川 曜

土地家屋調査士

 

 

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※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている及び事例を合わせて記載している部分があります。

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