増築登記に必要な「所有権の証明資料」の壁
増築登記を申請するにあたっては、「その未登記の増築部分の所有権が誰にあるのか」を証明する資料が必要になります。
通常、未登記建物の場合は「固定資産税評価証明書」と「納税証明書」を用いて所有権を証明するのが一般的です。固定資産税の納税義務者(名義人)は実際の所有者であると推認できるため、その証明書と、実際に納税している事実を示す書類を用意します。
しかし今回のケースでは、未登記の増築部分がそもそも評価・課税されていなかったため、役所からこれらの証明書を取得することができません。このような場合は、まず役所に「固定資産税の評価・課税を求めるための届出(未登記家屋所有者届出書など)」を提出し、課税対象にしてもらう手続きから始める必要があります。
さらに今回の増築部分は、Bさんの父が増築したものであるため、遺産分割の際に間違いなくBさんの所有になったことを証明しなければなりませんでした。なぜなら、増築後に相続が発生した場合、未登記の増築部分は相続人全員の共有財産とみなされ、遺産分割協議の対象になるからです。
共有状態にある実家の未登記増築部分をBさん単独の所有であることを証明するためには、「未登記の増築部分もBさんが相続する」という旨が明記された遺産分割協議書等の資料が欠かせません。
書類作成も遺産分割協議もやり直し?
当時の遺産分割協議書の文面を確認したところ、運よく「本協議書に記載のない相続財産は、すべて相談者が相続する」という包括条項(清算条項)が記載されていたため、本来であればそれで事足りるはずでした。
しかし、手元にあるのは遺産分割協議書の「写し(コピー)」だけで、法務局に提出するための原本が見当たりません。そのため、やむを得ず「未登記の増築部分」を明記した遺産分割協議書を再作成することになりました。
