激しい円安で日本の不動産が「大バーゲンセール」状態に
そして潤日を大いに後押ししたのが、日本銀行(日銀)の低金利政策でした。人民元と円の交換レートは2020年1月末で15.626円でしたが、現在では22.264円(2026年1月末)。42.5%もの円安になっています。
日銀は2013年以降の大規模金融緩和政策のなかでゼロ金利、マイナス金利政策を取り続けて景気を刺激し、デフレからの脱却を図ってきました。
さらに2020年から始まったコロナ禍では、関連融資や各種補助金、支援金などで十数兆円もの多額のマネーをマーケットに供給しました。そして、コロナ禍の影響が薄れていった2023年以降も景気の動向を見守るとのことで、政策金利の引き上げを実施しようとはしませんでした。
いっぽう欧米各国もコロナ対策で大幅な金融緩和を実施していましたが、同時期にはインフレを警戒して利上げに舵を切った結果、欧米各国との金利差が広がり、結果として「円キャリートレード」と呼ばれる円売りが生じ、激しい円安状況を招くに至ったのでした。
日本に逃げ込もうとしている潤日の人たちにとって、円安は大変な恩恵をもたらします。日本にペーパーカンパニー等を設立して経営・管理ビザを取得、日本で不動産を買い求めたのです。
中国不動産の高騰を目の当たりにしてきた彼らにとっては、日本の不動産は魅力的でした。日本のマンションは中国のそれと違って設備仕様が良いです。私も何度か中国のマンションを見学していますが、住戸内の細かな仕上げ、サッシの建付けなどで驚くほどの差があります。
これが円安によって大バーゲンセール状態にあるのですから、買わない手はありません。まだ日本に居住していない非居住者も含め、日本のマンションを購入しておこうとの機運が盛り上がったのです。
さらにコロナ禍が追い打ちをかけた
実は、コロナ禍は日本のマンションマーケット高騰の原因とも言われています。本来であれば、大規模金融緩和政策は2020年に開催予定だった東京五輪(実際は2021年に開催)を境目に政策転換をし、金融引き締めに転じると思われていたのが、コロナ禍によって、逆にさらに大量の資金をマーケットに流し込む政策になりました。
マーケットにあふれ出たマネーはコロナ対策に回されただけでなく、富裕層などによって株式や不動産といった実物投資に大いに使われたのです。
国内富裕層の投資に加勢したのが中国人をはじめとした外国人投資家で、彼らのマネーが集中的に不動産に向かったがゆえに、東京や大阪といった大都市でマンション価格の激しい高騰が生まれたのです。
日銀は2024年3月にゼロ金利政策の解除を宣言、7月以降数度にわたる利上げを行なっていますが、円の他国通貨に対する円安の状況は改善を見るに至っていません。
牧野 知弘
不動産事業プロデューサー
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