「お先に失礼します」今日も定時で即退社…〈年収500万円〉元エース・現“窓際”おじさんの56歳会社員。若手の陰口にも動じない「謎の強さ」のワケ

「お先に失礼します」今日も定時で即退社…〈年収500万円〉元エース・現“窓際”おじさんの56歳会社員。若手の陰口にも動じない「謎の強さ」のワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

「あの人、なんで会社辞めないの?」――職場でそんな風に囁かれる、やる気のないベテラン社員。しかし、50代後半のリアルな転職事情を知れば、その見方は一変します。厚生労働省の「雇用動向調査」(令和6年)によると、55~59歳で転職した人のうち前職より賃金が増えた人が約35%いる一方で、減少した人も約34%にのぼります。そもそも転職自体が厳しい世代において、わざわざ年収ダウンのリスクを抱えて動くのは「合理的ではない」という側面もあるのです。頑張らずに65歳まで働き続けることを目指す男性の事例とともに、その実情を見ていきましょう。

元エース社員だったが…最低限の仕事をこなして定時で即退社の「省エネモード」へ

「あの人、なんで会社にしがみついてるんだろ。やる気がないなら辞めればいいのに」

 

ある日の午後、オフィスの給湯室から漏れ聞こえてきた、10歳以上年下の同僚の辛辣な声。陰口どころか「あえて聞こえるようにしている」と思えるほどの声のボリュームでした。

 

しかし、それを耳にしても、澤田和男さん(仮名・5歳)は、傷つくどころかフッと鼻で笑い、自席へ戻っていきます。その“謎の強さ”の裏には、こんな事情がありました。

 

かつての中堅メーカー時代、澤田さんは企画管理職としてバリバリ実績を上げるエース社員でした。年収ピーク940万円。しかし、会社が吸収合併されたことで、彼の人生は一変しました。

 

彼の会社人生は一変します。組織再編にともなって役職を外され、年下の若い上司の下で働く立場に。さらに追い打ちをかけるように、年収は500万円へと激減したのです。これまで会社に尽くしてきた自負があったからこそ、プライドは粉々に。これを機に、澤田さんは仕事への姿勢を完全にシフトチェンジしました。

 

「もう頑張るフェーズは終わり。あとは“オマケ”の会社員人生だ」

 

現在の澤田さんの仕事ぶりは、以前の彼からは想像できないものです。仕事は最低限のルーティンだけをこなして、定時で即退社、会議でも積極的な発言はしません。

 

年下の上司から高い目標を掲げられ、時には厳しい言葉をかけられても、返すのは「努力します」という生返事だけ。あからさまな省エネの姿勢に、周囲から不満が出るのも当然ですが、澤田さんは一切動じません。

 

「だって、頑張ったって報われませんから。あの陰口だって、気にした方が負けです。怒って会社を辞めたら、それこそ『向こうの思うつぼ』。コストカットしたい会社を喜ばせるだけですよ」

 

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