(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の住まいとして、有料老人ホームを選ぶ人は少なくありません。費用が高い施設ほど安心できると思いがちですが、入居一時金や月額費用だけで判断すると、思わぬ負担に直面することがあります。特に契約内容や追加費用、介護度が変わった場合の扱いは、入居前に確認しておくべき重要なポイントです。

「ここなら最後まで安心」…高級老人ホームに託した老後

賢一さん(仮名・78歳)と妻の美代子さん(仮名・76歳)は、5年前に介護付き有料老人ホームへ入居しました。夫婦の年金収入は月28万円ほど。退職金や預貯金を合わせた貯蓄は約7,000万円あり、子どもたちに迷惑をかけず、安心して暮らせる場所を早めに決めたいと考えていました。

 

見学した施設は、ホテルのようなロビーと広い食堂、季節ごとの行事、手厚い見守り体制を売りにしていました。入居一時金は高額でしたが、説明を受けた賢一さんは「これで最後まで面倒を見てもらえるなら安いものだ」と思いました。自宅を売却し、夫婦で入居することを決めたのです。

 

最初の数年は満足していました。食事は用意され、掃除も頼めます。職員の対応も丁寧で、体調に不安があるときもすぐ相談できました。ところが、入居から5年が過ぎた頃、美代子さんの認知機能が少しずつ低下し、夜間の見守りや介助が必要になっていきます。

 

その頃から、請求額が増え始めました。介護保険の自己負担分だけでなく、個別対応の費用、付き添い、消耗品、通院時の支援費などが重なります。さらに、施設側から「今後の状態によっては、より介護体制の整った居室へ移っていただく可能性があります」と説明されました。

 

賢一さんは契約書を読み返し、ある一文に目を止めます。

 

「入居者の心身の状態により、事業者は居室変更を求めることができる」

 

入居時にも説明は受けていたはずでした。しかし当時は、「必要な場合の形式的な条項」くらいにしか考えていませんでした。移動先の居室は月額費用が上がり、夫婦で同じ部屋に住み続けられない可能性もあると知ったとき、賢一さんは思わず声を荒らげました。

 

「ふざけるな! 最後まで安心じゃなかったのか」

 

 

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