前回は、ホーチミン市で進む交通インフラの開発計画を解説しました。今回は、そのホーチミン市における、不動産の開発プロジェクトについて、日系企業が関わっている案件も含めてご紹介します。

住居施設と商業施設が併設される総合プロジェクト

地下鉄のMETRO 1号線沿線では、1区~9区にかけての数多くの開発案件が計画されています。

 

中でも中心地の開発で最大なのが、VINHOLMESが開発している「Golden river」プロジェクトです。1区中心地に位置し、敷地面積約25ヘクタール、コンドミニアム、サービスアパート、オフィスビル、商業施設、ホテル、戸建て住宅などの開発計画です。地下鉄METRO1号線バソン駅が敷地内に位置しており、中心部では最大の開発案件でした。しかし、昨年中頃に、プロジェクト(70%弱)ごと香港資本のベトナム企業に売却され、引き継がれています。VINHOMES販売分は2018年の引き渡しに向けて、コンドミニアム5棟、戸建て住宅が建設中であり、8割が売却済みとなっています。

 

次に続くのは、同じくVINHOMESによる「Central park」プロジェクトです。1区中心地より車で5分のビンタン区に位置しており、敷地面積は約45ヘクタール。シンボルであるラウンドマーク81(81階建て)が完成すると、ベトナムでもっとも高いビルとなり、それを囲む形で約10,000室のコンドミニアムと93戸のビラの開発が進んでいます。敷地の中には14ヘクタールもの公園やインターナショナルスクール、病院、商業施設、ホテル、プール、レストラン等が作られます。地下鉄METRO1号線の始発より、4駅目と5駅目にまたがっています。現在引渡が開始されており、2018年末には全棟が完成し引き渡される予定で、残りの販売戸数はわずかとなっています。

 

三番目は、「MASTERI THAO DIEN」プロジェクトです。敷地総面積は約8ヘクタール、5棟のコンドミニアムの建設が予定されています。METRO1号線の7駅目に直結しており、ショッピングモールも備え、地下鉄が開業すると、より魅力的な物件に様変わりするでしょう。開発業社からの物件はすべて完売、一部、転売物件が出回っている状況です。

1ベッドルームが約3万USDで購入可能な物件も

中心地から離れている沿線上でも、魅力的な開発計画が進んでいます。

 

最も建物の質が高いと言われているのが、2区の「CapitaLand Feliz」プロジェクトです。この物件はシンガポールの不動産開発業者Capitalandが開発し、4棟からなる1,152戸数を有する物件です。エントランス付近には緑が多くあり、施設も充実していて、敷地内には約100の施設が揃っています。こちらの物件は、外国人が多く住むことが想定される高級高層住宅です。

 

最後に、METRO1号沿線沿いで最も大きな開発計画として、VINHOMESの「VINCITY」プロジェクトがあります。敷地総面積は約350ヘクタール、販売戸数は約100,000戸と、ベトナムでは恐らく最大級の開発になるでしょう。施設も充実しており、敷地内には病院、学校、商業施設等が完備されており、ベトナムのアッパーミドル層をターゲットにしています。売り出し価格は、650usd/㎡~1000usd/㎡で設定されています。1ベットルームを45㎡として計算すると、約3万USDで購入可能です。発売開始は2017年3月末頃に予定されています。最寄りの駅から徒歩10分の距離ですが、キャピタルゲイン狙いで考えても面白い物件だといえるでしょう。

合弁を含む日系企業による開発状況

METRO1号線からは少し離れていますが、9区「フジレジデンス」プロジェクトがあります。これは阪急不動産・西日本鉄道・ナムロンインベストメントの日越合弁事業になります。敷地面積5.4ヘクタール、販売戸数はコンドミニアムで789戸、戸建住宅が84戸を予定。コンドミニアムは18階建てで、2棟。平均専有面積は60.7㎡で平均販売価格約55,000usd。戸建て住宅は平均敷地面積が187.4㎡、平均延床面積が127㎡で、平均販売価格は約294,000usdです。2017年12月に完工の予定となっています。中心地街より約11㎞の位置で、工業団地や大学が立地している場所です。ベトナムのアッパーミドル層をターゲットとしています。

 

3社が合弁で手掛ける事業の2件目として、フジレジデンスから約1.5㎞離れた場所にあるフローラ・アンダオ(500戸)があり、同じようにコンドミニアムと戸建販売です。すでに9割以上が売却済みになっています。

 

次に、「ミッドタウンプロジェクト」をご紹介します。7区フーミーフンエリアで、大和ハウス工業・野村不動産・住友林業・フーミーフンの日越合弁事業です。敷地面積2.8ヘクタール、販売戸数2100戸が販売予定です。2期に分けて分譲マンションを販売する計画で、第1期の開発では、分譲マンション5棟、総戸数約1,100戸の開発を行い、継続して第2期の開発も行う予定です。エリア内の商業施設にも近く、日本人学校にも隣接しています。住居プランは、専有面積が85㎡~120㎡台(2~3ベッドルーム)と多彩な間取りが用意され、入居者専用のジム、プール、多目的室、子供用プレイグランド等の共用施設も設置されます。ファミリーで赴任する駐在員向けのマンションタイプになります。

 

前田建設工業も2017年から、ベトナムの不動産開発会社ティエン・ドゥック・トレーディング・アンド・コンストラクションと、ホーチミン市2区に不動産開発事業を展開します。日本の建築家、隈研吾氏のコンセプトデザインにより、商業施設を併設した高級マンション「WATERINA SUITES」(25階建て、全98戸)を開発します。この他にもクリードグループが投資事業として、数多くの不動産投資を行っています。

 

ホーチミン市内だけでも紹介できていない計画や、実施している開発案件がまだまだ沢山あります。また今後は、ホーチミン周辺から郊外へと開発は進んで行くでしょう。

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