「母さんと一生懸命貯めた金を…」
きっかけは、麻雀仲間から勧められたシニア向けマッチングアプリでした。
妻を亡くした孤独を埋めるため、昔の「文通感覚」で始めた父のもとに、40代後半の女性からメッセージが届きます。「お父さんみたいで安心する」という甘い言葉に、父は一気に心を開いてしまいました。
やがて話は「事業資金が足りない」「あなたしか頼れない」という無心へと変わり、父は老後資金だった2,800万円の資産から、計800万円以上を女性に送金。その後、突然連絡が途絶え、アカウントも削除されて初めて詐欺だと気づいたのです。
預金残高は2,000万円を割り込んでいました。月18万円の年金があるため、すぐ困窮することはありませんが、激しく落ち込む父。
「将来介護が必要になっても、お前に迷惑をかけないための大切な金だったのに。なにより、母さんと一生懸命貯めた金だったのに……」
亡き母に顔向けができないと自責を繰り返す父の姿に、誠司さんもまた「早く異変に気づければ」と悔やんでいます。
高齢者を狙うロマンス詐欺の実態
誠司さんの父が被害に遭ったのは、典型的な「ロマンス詐欺」です。警察庁の「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」によると、令和7年のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は1万5,142件、被害総額は1,827.0億円にのぼります。
なかでも、「SNS型ロマンス詐欺」単体の被害を見ると、認知件数5,604件、被害総額552.2億円という規模で、既遂1件あたりの被害額は987.0万円と高額なのも特徴。また、被害者の約6割は男性。「高齢者はお金を持っている」と狙われるケースは後を絶たず、残念ながら、こうしたネット詐欺で一度送金してしまったお金が戻ってくる可能性は、極めて低いのが現状です。
まずは、「アプリなんて、ましてや詐欺なんて自分や家族には関係ない」という思い込みを捨てること。離れて暮らす親がいる場合は、面会が難しくても月1回など定期的に電話を入れ、生活や声のトーンにいつもと違う違和感がないかを確認し続けることが、大切な家族を守るための現実的な防壁となります。
【注目のセミナー情報】
【資産防衛】6月17日(水)オンライン開催
《財務・資産承継戦略》
令和版「お宝保険」の正体とポテンシャルは?
【資産運用】6月18日(木)オンライン開催
《決算対策・財務戦略》
2026年版・太陽光投資の“4つのメリット”
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
