(※写真はイメージです/PIXTA)

長く家庭を支えてきた専業主婦が、50代になってから就職活動を始めるケースがあります。子どもの独立、夫の収入減、離婚、親の介護費など、理由はさまざまです。しかし家事や育児を担ってきた年月は確かな経験である一方、職歴としては見えにくく、求人票の前で立ち止まってしまう人も少なくありません。

「何もない」わけではない…家庭での経験を仕事につなげるまで

転機になったのは、ハローワークを訪れたことでした。ひとりで求人サイトを見ているだけでは先に進めないと思い、美恵子さんは思い切って相談に行きました。

 

「職歴がほとんどないんです」

 

そう話すと、担当者は履歴書を見ながら言いました。

 

「職歴として書けることは少なくても、経験がないわけではありません。まず、できることを整理しましょう」

 

家計管理、学校や地域との調整、介護の付き添い、電話対応、書類整理。担当者は、美恵子さんが家庭の中で担ってきたことを一つずつ聞き取りました。

 

「事務経験が長い人と同じ土俵で比べるのではなく、未経験可の仕事や、研修のある仕事から考えてもいいと思います」

 

その言葉で、美恵子さんは少しだけ肩の力が抜けました。

 

厚生労働省のハローワークでは、求職者に対して職業相談や職業紹介、職業訓練の案内などを行っています。また、一定の条件を満たす人は公的職業訓練を利用し、パソコンや介護、事務などのスキルを学ぶこともできます。

 

美恵子さんは、短期間のパソコン講座を受けることにしました。最初は文字入力にも時間がかかりましたが、表計算ソフトやメールの基本操作を学ぶうちに、「何もできない」という思い込みは少しずつ薄れていきました。

 

その後、地域のクリニックで受付補助の仕事に応募しました。医療事務の資格はありませんでしたが、研修があり、週3日から勤務できる求人でした。

 

面接で、美恵子さんは正直に話しました。

 

「仕事のブランクは長いです。ただ、家庭では家計管理や親の通院の付き添いをしてきました。人と接することや、予定を整理することは得意です」

 

数日後、採用の連絡が入りました。

 

時給は高くありません。最初は覚えることも多く、帰宅後にぐったりする日もありました。それでも、美恵子さんにとっては大きな一歩でした。

 

「履歴書の空白ばかり見て、自分には何もないと思っていました。でも、少しずつでも働ける場所はあるんですね」

 

50代からの就職活動は、簡単ではありません。希望する職種や条件にこだわりすぎると、思うように進まないこともあります。ブランクがある場合は、いきなり正社員や経験職にこだわるより、短時間勤務や研修のある職場、職業訓練などを活用する方法もあります。

 

専業主婦として過ごした時間は、履歴書にそのまま書きにくいかもしれません。しかし、家庭を回してきた経験がすべて無意味になるわけではありません。

 

美恵子さんが人生初の就職活動で味わったのは、厳しい現実でした。しかし同時に、年齢や職歴の空白だけで自分の可能性を判断する必要はないということも学んだといいます。

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧