管理会社の実態は見えにくい…マンション管理に潜む「情報の非対称性」
今回のAさんの事例は、マンション管理に潜む「情報の非対称性」という問題を示しています。
国土交通省の「マンション総合調査」によれば、管理会社に業務を委託している管理組合は、一部委託を含めると95%を超えます。その一方で、なんらかの理由で管理会社を変更した経験のあるマンションは24.5%にとどまっています。
「管理会社がすべてやってくれる」という意識は、実は大きなリスクです。管理会社は議事録の素案を作成し、理事会の議論にも深く関与できる立場にあります。しかし、区分所有者の多くは、管理会社が裏でどのように業務を進めているのかを知る術がありません。
国土交通省のマンション標準管理委託契約書においても、管理委託費の内訳開示の程度は管理会社によって大きく異なります。費用のなかにどれだけ管理報酬が含まれているか見えにくい構造は、業界全体の慢性的な課題といえます。
管理会社と理事会が適切な緊張関係を保ち、区分所有者が主体的に関与することではじめて、マンションの資産価値は健全に維持されます。
Aさんが密かに進めた管理会社変更の取り組みは、こうした構造的な問題に対する一つの現実的な解決策だったといえるでしょう。
松本 洋
松本マンション管理士事務所 代表
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