(※写真はイメージです/PIXTA)

孫と過ごす時間を楽しみにしている祖父母は少なくありません。共働き世帯が増えるなか、保育園や学童だけでは対応しきれない場面で、祖父母が子育てを支えることもあります。しかし、最初は喜びだった孫の世話も、頻度や時間、費用の負担が増えると、心身の重荷に変わることがあります。

「かわいい」と「つらい」は両立する…線引きが必要な理由

負担はお金だけではありませんでした。

 

孫は元気いっぱいで、食べた後も「公園に行きたい」「ゲームしたい」「宿題見て」と和代さんに声をかけます。夕方には疲れ切っていても、娘が迎えに来るまで気を抜けません。

 

ある日、和代さんは台所で深いため息をつきました。

 

「ばぁば、お腹すいた!」

 

いつもなら笑って返せるその声に、胸が重くなりました。孫をかわいいと思う気持ちは変わりません。それでも、また食事を作らなければならないと思うと、体が動かなかったのです。

 

娘に「少し回数を減らせないか」と伝えると、娘は困ったような顔をしました。

 

「でも、学童だと嫌がるし、ばぁばの家なら安心だから」

 

その言葉に、和代さんは言い返せませんでした。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、65歳以上の人の社会活動への参加状況や生きがいについて触れられています。孫の世話も、祖父母にとって生きがいや交流になる一方、体力や生活リズムに合わなくなれば負担にもなります。

 

厚生労働省の「地域子ども・子育て支援事業」では、保育所や放課後児童クラブ、ファミリー・サポート・センター事業など、家庭だけに負担を集中させないための支援制度が設けられています。祖父母の協力は心強いものですが、負担を強いられ祖父母自身の体力や家計に影響が及ぶケースもあります。

 

和代さんは、娘夫婦と改めて話し合うことにしました。

 

「孫はかわいい。でも、毎日のように預かるのはもう難しいの」

 

その後、預かる日は週2回までに決めました。夕食が必要な日は、娘夫婦が食費を渡す。送迎が必要な日は事前に相談する。急な残業のときは、地域の一時預かりやファミリー・サポートも調べることにしました。

 

「家に来ないで、という話じゃないのよ」

 

以前より会う回数は減りましたが、和代さんの気持ちは少し楽になりました。孫が来る日には、無理なく準備ができます。笑顔で迎えられる余裕も戻ってきました。

 

孫を助けたい、娘夫婦の力になりたい。その気持ちは自然なものです。しかし、祖父母にも生活があり、体力や家計には限りがあります。支援を当たり前にせず、頻度、時間、費用、緊急時の対応を家族で話し合っておくことが大切です。

 

無理を重ねて関係が悪くなる前に、できることとできないことを伝える。それは孫を拒むことではなく、長くよい関係を続けるために必要な線引きなのかもしれません。

 

 

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