(※写真はイメージです/PIXTA)

共働きが当たり前になったいま、子育て世帯にとって「どこに家を買うか」は、単なる住まい選びではありません。保育園の送迎、急な発熱、仕事との両立――現実的な事情を考えれば、実家の近くに住む選択はごく自然なことなのでしょう。その一方で、「息子も孫も向こうの実家に取られた気がする」と、複雑な思いを抱える親世代の声も聞かれます。見ていきましょう。

「家を契約した」息子の報告に胸がざわめいた日

「母さん、家を契約したよ」――長男からそう聞かされた栄子さん(66歳)。都内で賃貸暮らしを続けていた息子夫婦(ともに34歳)は、以前からマイホームが欲しいと言っていました。しかし、その場所を聞いた栄子さんは、複雑な気持ちに駆られました。

 

 「場所は、由香の実家のすぐ近くだから。子育ても助けてもらえるしね」

 

息子の嫁の由香さんの実家は、都心まで1時間ほど。息子にとっては通勤圏内であり、由香さんにとっても、実家のそばで暮らすことは、4歳の子を育てる母として最善の選択だったのでしょう。

 

しかし、栄子さんの胸はざわめきました。

 

「……息子も孫も、取られちゃったみたい」

 

もちろん孫は自分のものではない。理屈ではわかっています。それでも、孫が生まれた頃から、どこかずっと引っかかっていました。

 

里帰り出産から始まり、初節句、お食い初め。すべてが嫁側主導で決まっていきます。送られてくる写真には、いつも嫁の母が自然に写り込んでいました。

 

モヤモヤするのは、こんな事情もありました。息子夫婦から住宅購入を考えていると言われたとき、栄子さん夫婦は老後資金の一部を取り崩し、500万円を援助しています。「少しでも助けになれば」 そんな思いでした。

 

しかし結局、購入した家は、嫁の実家の近く。その晩、眠れない栄子さんは、「私たちは、お金だけ出す係だったみたいね」……夫にそう漏らしました。

 

夫は「近いほうが便利なんだから仕方ないよ。幸せに暮らしてくれれば、それでいいじゃないか」とだけ。しかし、その正論が、栄子さんには余計につらく感じられました。

 

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